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「グリッドコンピューティング」という言葉をご存じだろうか? これは、インターネットなどを経由して数万、数十万にも及ぶ数多くのパソコンやサーバをつなぎ、それら1台1台の空き能力を利用して、通常スーパーコンピュータが行うような膨大量の計算に対応させる技術だ。

既にこの技術を多くのプロジェクトに利用してきた欧米に比べ、少々出遅れてしまった日本だが、昨年あたりからいくつかの企業が関連部署を新設したり、産学官による研究団体「グリッド協議会」が設立されるなど、本格的な取り組みへの様相を見せ始めている。

なかでも話題となったのが、昨年末から今年4月末にかけて実施された国内初のグリッドコンピューティングの大規模実証実験。この実験には1万2000台を超えるパソコンユーザーが参加し、平均的なパソコン1台で611年かかる計算を約4カ月で完了した。

グリッドコンピューティングのサービスが確立されれば、研究所や企業はスーパーコンピュータを導入するよりもはるかに低コストで、それ以上の計算能力を使えるようになる。一方、パソコンを提供する側も通信料金の割引などいろいろなかたちで対価が得ることができる。もちろん、その間パソコンが使いにくくなるといった支障が出る心配はない。

コンピュータ資源の有効活用になるだけでなく、普段あまり縁のない難しい科学研究の手助けもできるグリッドコンピューティング。家庭にあるパソコンでも、インターネットに接続されていれば、その空き能力を提供することは可能だ。もしかすると、世界的な大発見にあなたのパソコンが協力していた・・・なんてことが起こるかもしれない。

  印刷新報

印刷物=文字と写真やイラストなどの図版だけで構成された情報媒体、というのがこれまでの常識だった。しかし、最近では、これに“見えない付加情報”をプラスした、新しいスタイルの印刷需要が広がりを見せ始め、業界内の期待を集めている。

玩具メーカーのタカラが開発した、特殊なインクを使って音声や映像などのデータを印刷する技術もその一つ。これを利用すれば、絵本の象のイラスト部分にその鳴き声のデータを記録しておき、そこに専用のペン型スキャナをかざした時に象の鳴き声を再生させる・・・といったことが可能になる。

一方、共同印刷では、印刷物上の絵柄をカメラ付き携帯電話で撮影するだけで、簡単にインターネットに接続できる技術を開発。例えば、街角で気になるポスターを見付けたら、それを携帯電話で撮影。すると瞬時にその関連サイトのURLが携帯電話に返信され、面倒な操作もなく詳しい情報を入手できる。

どちらの技術も目に見えない形で付加情報を印刷するのでデザインを損なう心配がなく、応用範囲が広いのが特徴。上記以外に、偽造防止目的でイベント入場券の用紙内に超小型ICチップの埋め込みを決めた事例もあり、今後はセキュリティの面でも“見えない付加情報”への需要が見込めそうだ。このところウェブに押され気味だった印刷業界だけに、新しい市場形成のチャンスに期待が高まる。

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創 刊: 1958(昭和33)年9月
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