このパイロットのキャップレスは、ボールペンのようにノックするだけでペン先が出てくる、その名の通りキャップのない万年筆である。実は、世界で唯一のこのキャップレス万年筆は昭和30年代後期に開発され、発売と同時に画期的な筆記具として国内外で高く評価された歴史と実績を持っている。当時は中学生から大人まで、このノック式の新機構と流線型のフォルムに憧れたものである。それから35年後に大ヒット商品として復活した背景には、日本の文字を書く道具として万年筆の良さを見直そうという機運とともに、その実質的な機能と使いやすさに対する開発者の配慮を、素直に受け止める使い手側の共感があると思う。 |