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ユニバーサルデザイン 益田文和
Vol.022 ワンアクションで開くメガネケース
 

我々の日常の何気ない動作は、無意識の流れの中で行われている。例えば怪我で片手が使えなくなって初めて、歯ブラシに歯磨きのペーストを乗せるためには、歯ブラシの柄を固定しなくてはならないということに気づいて、ハタッと動作が止まるのである。第一、片手ではチューブの蓋が開けられない!
メガネを掛けることが習慣になっている人は、メガネを掛けていることが常態になっているから、メガネをメガネケースに入れるのは使わない時。だから、メガネのデザインに気を使う割には、メガネケースのデザインには無頓着である。ところが何十年もメガネと無縁の生活をしてきたのに、必要に迫られて複数のめがねを掛けたりはずしたりしなければならなくなると、その煩わしい作業をサポートすべき道具類のデザインの不備が気にかかる。
例えば、電車のつり革を持った状態で鞄の中からメガネケースを出して、その蓋を開けてメガネを取り出し、それを掛けて…、という一連の動作を片手でしなければならないと考えただけで本を読むのも億劫になる。ワンアクションでメガネケースの蓋が開いたら、ただそれだけのことでどれほどストレスなく行動できることだろう。
そんな簡単なことを、まずはやって見せてくれたというのが、このSAKAEのメガネケース。ボタンを押すとヒンジ部のバネの力で蓋がゆっくり開く。軽いアルミ製のハードケースで色も選べる。まだまだ改良の余地はあるが、やって見せてくれたのが、えらい。

(株)栄商会 UD-3 アビリティ/マット・オレンジ/マット・シルバー/マット・ブラウン/マット・クロ
益田文和(ますだ・ふみかず)プロフィール

1949年

東京生まれ。

1973年

東京造形大学デザイン学科卒業

1982年〜88年

INDUSTRAL DESIGN 誌編集長を歴任

1989年

世界デザイン会議ICSID'89 NAGOYA実行委員

1994年

国際デザインフェア'94 NAGOYAプロデューサー

1995年

Tennen Design '95 Kyotoを主催

1991年

(株)オープンハウスを設立
現在代表取締役。近年は特にエコロジカルなデザインの研究と実践をテーマに活動している

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