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ユニバーサルデザイン 益田文和
Vol.025 遠くのものを引き寄せる赤目の探偵
 

いわゆる情報社会だからというわけではないのだろうが、最近のポスターや看板などにあふれかえる文字情報の量は尋常ではない。伝えたいことがありすぎるというよりは、本来書く必要のないような説明や、細々としたただし書きが小さい字でぎっしりと書き込まれているから、読みにくいこと甚だしい。鉄道の路線図や施設内の案内表示もローマ字や外国語を併記するのは良いのだが、情報量が増えた分、文字が細かくなって読みにくくなるのでは困る。道路の案内標識も詳しく丁寧になるほど、かえって複雑になって混乱するような気もする。ビルの壁に取り付けられた社名や店名の表示、バスや電車の行き先表示、地下鉄の駅表示などなど、都会ではあらゆる文字情報の密度が高く、歳とともに年々読みにくくなる一方だ。
 ではどうするか。これはもう武装するしかない。日本の誇る光学技術の伝統を受け継ぐサファリ・ブランドのモノキュラーは、片方の手のひらにすっぽり隠れる大きさで、片目で覗けるから目立たない。小さくても8倍の威力で、2〜3メートル先の壁に貼られた手書きのメニューから、駅の反対側のホームにある時刻表まで読めてしまう。
街の中だけでなく、スポーツ観戦や観劇、自然の中での観察など、どこでも役立つ。特にレッドマルチコーティングを施したレッドアイ・モノキュラーは、紫外線や赤外線を遮断するので、ビルのガラスの反射光や雪景色、夏の砂浜、逆光などでも眩しさが軽減されて見やすく、眼が疲れない。
高性能の光学レンズを装備したアルミ製のボディは、75グラムの軽量ながら頑丈で本物の品質感を持っており、遊び心にも応えてくれる。これさえあれば都会の文字情報ジャングルでも迷子にならずに済みそうだ。遠くのものを引き寄せて見るという単機能に徹した道具は、実は様々な応用が利くユニバーサルデザインでもあったのだ。とはいえ、もともと読む価値のない情報は読めたところで意味がないのだが。

タスコ・ジャパン 

サファリ・モノキュラー(黒、シルバー、ゴールド)

 

サファリ・レッドアイ・モノキュラー(黒)

益田文和(ますだ・ふみかず)プロフィール

1949年

東京生まれ。

1973年

東京造形大学デザイン学科卒業

1982年〜88年

INDUSTRAL DESIGN 誌編集長を歴任

1989年

世界デザイン会議ICSID'89 NAGOYA実行委員

1994年

国際デザインフェア'94 NAGOYAプロデューサー

1995年

Tennen Design '95 Kyotoを主催

1991年

(株)オープンハウスを設立
現在代表取締役。近年は特にエコロジカルなデザインの研究と実践をテーマに活動している

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