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ユニバーサルデザイン 益田文和
Spork/LIGHT MY FIRE
Spork/LIGHT MY FIRE
Spork/LIGHT MY FIRE
スプーン+フォーク+ナイフ
 

箸という道具は使い慣れるとすこぶる便利で、挟んで、摘んで、掬って、切って、刺して、絡めて、より分けて、ほぐして、延ばして、かき混ぜて、とこれで何でも事足りる。しかし、そう思うのは和食を和食器でいただくからで、これがスープ皿に入ったスープが出てきたらたちまちお手上げだ。
もちろん、スープ皿のスープにはスープスプーンが付き物だから良いのだが、問題はいわゆる洋食だ。一応箸で食べられるよう工夫して調理されているので普段は気づかないのだが、体のどこかに故障があると様子は一変する。
一口カツは決してそのまま口に放り込むほど小さくはなく、一噛みしないと食べられないし、エビフライなどは立派なもの程大きな口を開けてザクリと噛まないとあのプキプキの身にありつけない。顎や歯が弱っていると情けないことになる。
他にも、パリパリの新鮮な野菜サラダや風呂吹き大根鶏そぼろあんかけや煮豆など、お店で箸を使って食事をしていて、ちょっとナイフがあったら楽なのにとか、スプーンやフォークがあると食べやすいのに、と思うことがある。
だから、マイ箸ならぬマイ・ナイフ・スプーン・フォークセットがあれば良いのに、と思っていたら、ありました。しかもその3つの機能が合体した、その名も「Spork」。軽くて強いポリカーボネート樹脂製で、なかなか良く考えられたデザインは見た目以上に使いやすい。フォークの縁にナイフのギザがついているところなど、一見大丈夫だろうかと不安になるが、使ってみると意外に気にならない。このポリカーボネートという樹脂、旅客機の窓に使われているくらいだから大変強く、ちょっとやそっとでは割れないし曲がらない。熱にも強く、−130度〜130度まで大丈夫だから電子レンジや食洗機にもかけられるし、煮沸消毒にも耐える。
透明の他に鮮やかな色合いが楽しいスウェーデン・デザインはいつもポケットに忍ばせておきたくなる。2本持ち歩けばスパゲティや麺類には便利だし、二人で食事するときにさりげなく取り出すという奥の手もある。

Spork/LIGHT MY FIRE(透明・オレンジ・グリーンほか)

益田文和(ますだ・ふみかず)プロフィール

1949年

東京生まれ。

1973年

東京造形大学デザイン学科卒業

1982年〜88年

INDUSTRAL DESIGN 誌編集長を歴任

1989年

世界デザイン会議ICSID'89 NAGOYA実行委員

1994年

国際デザインフェア'94 NAGOYAプロデューサー

1995年

Tennen Design '95 Kyotoを主催

1991年

(株)オープンハウスを設立
現在代表取締役。近年は特にエコロジカルなデザインの研究と実践をテーマに活動している

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