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ユニバーサルデザイン 益田文和
ネクタイをした詰め替え容器
 

なんと気の利いたデザインだろうか?
ボトルの首にはめられた青、赤、黄色の小さなタグ付きリング。白い詰め替え容器に付けると実に鮮やかで、よく目立つ。
このポリプロピレン製の詰め替え容器はシャンプー、リンス、コンディショナー、ボディーソープに液体石鹸など、何にでも対応する。同じ素材で白と透明のほか、中身が見える濃いグリーンの3色。それぞれに高さと奥行きの違いで4つのサイズがそろっている。使い方は様々だが、底面の基本が正方形なのでどこに並べてもきちんと整理される。色とサイズの組み合わせで12種類、それに透明な容器の場合は中身の色の組み合わせでもっと細かく区別ができる。別売りのシールを使えば、更にはっきり識別できる。
お母さん用は白、私用は大きな透明、弟は小さな透明、そしてお父さん用はグリーンと決めておけば、それぞれのシャンプー、リンスとボディーソープぐらいなら問題ないし、私専用は中身の色でピンク、透明、ミルク色、ペパーミントと、いろんな香りと効果のシャンプーが見分けられる。お風呂の棚や洗面化粧台にずらりと並べると壮観だ。中身は詰め替え用リフィルで済むから経済的でゴミも少ない。
問題なのは、色と形が同じだとメガネをはずしてシャンプーしているとき、どれがどれだか分かりにくいことぐらいだった。それに対する鮮やかな答えがこの小さなタグ付きリングである。鮮やかな色彩は泡まみれでも良く見える。赤はシャンプー、黄色はリンス、青はボディーソープかな、いやリンスは青じゃない…?
タグはシリコンゴム製でやわらかいので、四角い突起に沿ってハサミで切れば指先で触れれば短、中、長が分かるから、目を開けなくても区別ができる。これはそのまま視覚障害を持つ人にも使いやすいサインとなる。
これほど気持ちのよいユニバーサルデザインにはなかなかめぐり合えない。
小さなネクタイのようなタグを首に巻いた詰め替え容器はとてもきれいで、ちょっと誇らしげにも見えるのだ 。

詰替ボトル250、400、600ミリリットル用、各透明、白、グリーン/無印良品

益田文和(ますだ・ふみかず)プロフィール

1949年

東京生まれ。

1973年

東京造形大学デザイン学科卒業

1982年〜88年

INDUSTRAL DESIGN 誌編集長を歴任

1989年

世界デザイン会議ICSID'89 NAGOYA実行委員

1994年

国際デザインフェア'94 NAGOYAプロデューサー

1995年

Tennen Design '95 Kyotoを主催

1991年

(株)オープンハウスを設立
現在代表取締役。近年は特にエコロジカルなデザインの研究と実践をテーマに活動している

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