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ユニバーサルデザイン 益田文和
花びらのようなシートのじょうご
 

かつて、どこの家庭でもじょうごはなくてはならない道具の一つだった。醤油を一升ビンからしょうゆ差しに移すにも、食用油を缶からビンへ移すにも、鍋の麦茶を水筒に入れるにも、塩や胡椒を小分けするにも、あるいは灯油を缶からストーブのタンクに移すにも、じょうごがなければ始まらない。そのじょうごを最近あまり見なくなったのは、何を買っても最初から小分けされているからだろうか。
その一方で、シャンプーや液体洗剤など詰め替え用のパックで売られているものも増えている。ところがその詰め替えパックを買ってきて容器に入れ替えようとすると、こぼさずに使うのが難しい。近頃とみに不器用になったとがっかりすることはないのであって、じょうごなしで上手に移し替えるには、パックの口のデザインがいま一つなのだ。
やはりじょうごを常備しておくに越したことはないのだが、あの形は置き場所に困る。かつてはよく一升ビンの口に逆さにかぶせて置かれていたのを思い出す。
ファンファネルという名の、じょうごとして使えるシリコン製のシートがある。くるくると巻いて切れ込みを合わせるとちょうどじょうごの形になる。これだとあちこちにぺラリとぶら下げておいても邪魔にならない。
キッチンで粉類や調味料など容器に移したり、浴室でシャンプーやボディソープを詰め替えたり、ベランダで植木鉢に土や肥料を足したりと、色々使える。しなやかで柔らかいので容器の口の大きさや形状に合わせて自由に形が変えられるので失敗がない。シートのまま敷けば滑り止めになるし、200度以上の熱に耐えるので鍋敷きとしても使える。固くしまったビンのふたを開けるにも便利だ。
洗えばきれいになるのでいつも清潔。半透明でカラフルで羽のような花びらのような形も可愛い。大きさも2種類あって用途によって使い分けられる。一枚のシートにちょっとした工夫を施しただけでいろいろな問題を解決してしまう、まさにユニバーサルなデザインだ。

Funfunnel(ファンファネル);株式会社三陽プレシジョン
Lサイズ( 色:グリーン、ピンク、イエロー、オレンジ、ブルー)

益田文和(ますだ・ふみかず)プロフィール

1949年

東京生まれ。

1973年

東京造形大学デザイン学科卒業

1982年〜88年

INDUSTRAL DESIGN 誌編集長を歴任

1989年

世界デザイン会議ICSID'89 NAGOYA実行委員

1991年

(株)オープンハウスを設立

1994年

国際デザインフェア'94 NAGOYAプロデューサー

1995年

Tennen Design '95 Kyotoを主催

現在

(株)オープンハウス代表取締役。近年は特にエコロジカルなデザインの研究と実践をテーマに活動している。

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