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ユニバーサルデザイン 益田文和
いつでも持って歩きたい縦長スリムなバッグ
 

エコバッグが流行っているという。スーパーマーケットなどがレジ袋を無料で配ることを止めると、プラスチックの消費量が減ってCO2の排出量削減に寄与するという筋書きだ。本当は、一枚何グラムもないレジ袋を減らすより、スーパーやコンビニでの買い物そのものの分量を減らした方がずっと効果的ではあるが、さすがにそうは言えないらしい。
改めてエコバッグなどと言わなくても、毎日持ち歩くカバンやバッグの中に予備の袋を入れているという人は少なくないだろう。買い物でなくとも、出先で荷物が増えるということはいくらでもあって、そういう時に薄手で丈夫で大きめの袋があると重宝する。そう考えると風呂敷というのは大したもので、柔軟性という点ではこれに勝るものはない。
何でもかんでもポンポン放り込むには丈夫な帆布製のトートバッグも良いが、持ち歩くには少しかさばる。薄手のナイロンなどで出来た小さく畳める袋はいろいろあるが、広げたり畳んだりするのが意外に面倒で、特に荷物を持たされた上でパズルのような事をさせられるのはかなわない。また、あまり薄くて小さいと、いざという時にどこにしまったのか分からなくなる。バッグやポケットに無造作に手を突っ込んで、つかみ出せるくらいの存在感は必要なのだ。
福井県生まれの「knaplus(クナプラス)」というバッグはプリーツが実にユニークで、使う時には思いっきり広がって大きくなるけれど、中身を出せば放っておいても元のスリムな姿に戻る。くるくると丸めて持ち歩けば邪魔にならない。独特の艶がある素材感と上品な色遣いはプリーツの繊細さと相まって実にオシャレだ。一方、その名の通りクシャクシャなしわ加工の「kusha(クシャ)」というシリーズは、バッグの内側についた内ポケットの中にぐいぐい押し込めば小さくまとまってしまう。素材はとうもろこしから生まれたポリ乳酸繊維だから、土に戻るし、燃やしても何の問題もない。ああ、なんとけなげであることか。

http://knaplus.com/
knaplus(タテプリーツ大40×55cm、小35×40cm、ヨコプリーツ36×33cm)、kusha(36×35×12cm)

益田文和(ますだ・ふみかず)プロフィール

1949年

東京生まれ。

1973年

東京造形大学デザイン学科卒業

1982年〜88年

INDUSTRAL DESIGN 誌編集長を歴任

1989年

世界デザイン会議ICSID'89 NAGOYA実行委員

1991年

(株)オープンハウスを設立

1994年

国際デザインフェア'94 NAGOYAプロデューサー

1995年

Tennen Design '95 Kyotoを主催

現在

(株)オープンハウス代表取締役。近年は特にエコロジカルなデザインの研究と実践をテーマに活動している。

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