券売機で切符を買おうとする。
ズボンのポケットに直接小銭を入れている場合は、利き手を突っ込んで掴み取った小銭を握ったまま、親指と人差し指の指先で百円玉と十円玉をより分けて、盤面に開けられた細長い穴に一枚ずつ入れてゆく。歳のせいか、この作業が最近やたらにやりにくい。特に一円玉が十円玉の縁にはまったら離れないようにできているから、指先が相当に器用でもクリアするのは難しい。新型の券売機では硬貨の投入口が斜めの面についていたり、まとめて投げ込んでやると機械が必要な硬貨だけより分けてあとは戻してくれたりと改良されてきているものの、スーパーのレジなどでは、店員の手にジャラッと渡して数えてもらうわけにもゆかない。いっそ、慣れない国に旅行したときにやるように、手のひらに小銭を載せたまま見せて必要な分だけ取ってもらおうかとも思うけど、多く取られたとき文句を言っとたんに外国からの旅行者でないことがばれるから、考えるだけでまだやったことがない。もう一方の手にいったん持ち替えて両手を使ってより分ければよさそうなものだが、そちらの手は大体において荷物を持っているので期待されるほど自由にならず、かえってコインをばら撒いたりする。 |