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ユニバーサルデザイン 益田文和
飲み水は持った、自販機はいらない。
 

日本の街角にはありとあらゆるところに飲み物の自動販売機が置いてある。それは大都市圏ばかりでなく、地方の小さな町や街道筋でも同じことだ。その数は清涼飲料水に限っても200万台を超え、売上金額は3兆円に迫るというから驚きである。消費量で見ると日本人一人当たり一日1本は飲んでいる計算になる。我々は、いったいいつから飲み水をこんなふうに買うようになったのだろうか? そういえば以前は街のあちこちにあった水飲み場がいつの間にか消えてしまった。
最近は、経済性や環境的な理由のほかに、健康上の配慮からも自分で用意した水やお茶などを持ち歩く人が増え、それに伴って水筒が復活している。のどが渇く度に小銭を出して何とか味のペットボトルや缶飲料を飲むよりはよほど気が利いている。
さて、その水筒、最近はマグとかドリンクボトルなどと呼び方はいろいろだが、断熱二重構造になっていて温かいものも冷たいものも美味しく飲めるからありがたい。種類も、容量や重さ、材質や形がいろいろあって使い方に合わせて選べるようになっている。蓋や飲み口の開閉の方法にはそれぞれ工夫があって比べてみると面白い。中でもGOOD GRIPSのリキシールマグは、栓を開けて飲んで、閉めるまで、ボタン一つのワンタッチ操作で済む。飲み口のついた蓋の真ん中にあるoxoのロゴの入ったボタンを押すとシリコン製の中栓が開き、飲み終わったらもう一度押すだけでしっかりと閉じることが出来る。これは実はかなり便利で、片手で持ったバッグから取り出し、ボタンを押して飲み口から飲んでまたボタンを押してバッグにしまう、そこまでの流れが片方の手でスムーズに行える。本を読みながら、歩きながら、あるいは大きな荷物で手がふさがっていても一連の動作に無理がない。たっぷり400ml入るやや大振りのサイズだが、少しくびれた首の部分に指がかかり持ちやすく飲みやすい。よく考えられたデザインは形に無駄がなく美しい。

オクソー・インターナショナル/リキシールマグ(レッド・グリーン)

益田文和(ますだ・ふみかず)プロフィール

1949年

東京生まれ。

1973年

東京造形大学デザイン学科卒業

1982年〜88年

INDUSTRAL DESIGN 誌編集長を歴任

1989年

世界デザイン会議ICSID'89 NAGOYA実行委員

1991年

(株)オープンハウスを設立

1994年

国際デザインフェア'94 NAGOYAプロデューサー

1995年

Tennen Design '95 Kyotoを主催

現在

(株)オープンハウス代表取締役。近年は特にエコロジカルなデザインの研究と実践をテーマに活動している。

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