今でこそCDの扱いに大分慣れたものの、初めのうちはこの虹色に怪しく光る円盤をケースから取り出し、CDプレーヤーやディスクドライブのトレイにセットするまで、円盤の表面に指紋をつけないように随分気を使ったものである。ところが、最近になってパソコン用CD-Rが普及し一枚数十円で買えるようになると、大分扱いがぞんざいになってきた。だが、何も記録されていないディスクは安くても、貴重なデータを記録したCD-Rは掛け替えのない価値を持つ。傷や汚れや変形や指紋べたべたは避けたいものである。
このCD-LIFTはデンマークのデザイナー、TOMMY LARSENコレクションの一つで、その名のとおりCDを持ち上げるための道具である。CDのまんなかに置いて丸いゴムの部分を押すと、中の空気が逃げてディスクが吸着する。そのまま持ち上げればCDはケースの爪を離れて付いてくる。ドライブのトレイにセットしたらもう一度ゴムを押すとCDは離れる。
加齢と共に、机の上にペタンと置かれたCDのような平べったいものを取り上げることが難しくなる。そうでなくても指先に絆創膏でも貼っているとどうにも扱いかねる。英語で不器用なことを「指がぜんぶ親指だ」と言うが、親指だらけの人にとってCDをケースから取り出したり汚さないように扱ったりするのはイライラする作業に違いない。どの場合もCD-LIFTのような道具があればスマートにCDを扱える。
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