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![]() ![]() 私自身もITがもたらす恩恵を活かし、ワーク・ライフ・バランスを取っている一人だと自負しているが、ブエノスアイレスにいるとITの恩恵を最大限に活用して場所と時間に縛られずに自分仕様の働き方をしている人達をよく目にする。その一類がブエノスアイレスとNYを行き来しているアーティスト達。NYに拠点を置きながら、創作活動はブエノスアイレスで、というパターンだ。
まず一つには地理的な利点が挙げられるだろう。NYとブエノスアイレスは赤道を挟み南北に位置しながらも、経度にはさほど差が無く、時差はたったの2時間。そして直行便がある。つまり物理的にアクセスしやすい上、治安が良い。何より、物価が安い。2001年のデフォルトで現地通貨価値が下がって以来、欧米と同様の質の高い生活が、現地の何分の一という価格で可能になった。NYではとても借りられない大きなスタジオも、ここでは金銭的にアクセス可能というわけだ。 それだけではない。ブエノスアイレスには、ヨーロッパ風の街並みと茶目っ気たっぷりのポルテーニョ達、彼らの文化視点の高さ、そして政府の理解と援助がもたらす文化的行事の多様さなど、「アートを生む街」の異名を裏切らない街の土壌があるのだ。
![]() NYから3〜4ヶ月ごとにブエノスアイレスに来るレスリーは「ブエノスアイレスに居ること自体が創作活動にインスピレーションを与えてくれる」と言う。外国語が得意ではない米国人にとって、英語を流ちょうに話し、外国人の扱いに慣れているポルテーニョは「外からの客」に疎外感を与えないのかもしれない。
レスリーを始めとするアーティスト達は、ノートパソコン持参で、定期的にブエノスアイレスに来ては大きなスタジオを借り、創作活動に入る。FacebookやYouTubeでスタジオの様子や作品を顧客にアピールすることで、ギャラリー・ディレクターやキュレーターなどからのコンタクト、展示会への招待にもつながるとか。グループ展へのコラボのお誘いも今や「ネットでの作品を見て」と問い合わせがある。インターネット上で作品を発表・販売し、自身のコミュニティーでファンを作る彼ら。作品に興味をもった人はホームページで直接作品を購入。過去にコンタクトのあった顧客とは、折りに触れメールを送ることで「関係」を維持する。
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