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第44回 ドイツ、ヴィッテンベルク発

「ネットの検索もエコに貢献」

検索も環境に優しく
エコシアスタート画面

検索サイト「エコシア」のスタート画面。12月のリニューアルによってグローバルに対応したサイトとなり、日本語でも検索できるようになった。

地球環境や発展途上国に貢献することは、ドイツでは一種のステータス。そんな彼らが注目するサイトがある。インターネットで検索すると、検索結果を得るだけでなく環境にも優しいという一石二鳥の検索サイト「エコシア(Ecosia)」(http://www.ecosia.org/)だ。

このサイト、ネットサーフィンをしながら、同時にアマゾンの熱帯雨林を救出できるというスグレもの。利用者はエコシアを使って検索するだけ。もちろん無料だ。検索エンジンのヤフーとビングがエコシアの検索サイトを支援しているから、検索機能も遜色ない。

では、検索するだけでどのように地球環境の保護に貢献できるのかというと、エコシアで検索した人がスポンサー企業の広告リンクをクリックすると、その企業がヤフーやビングに数セントを支払う仕組みになっている。この収入の約半分がエコシアに支払われ、エコシアは最低その80%の金額を熱帯雨林の保護のために世界自然保護基金(WWF)のアマゾン救出プロジェクトへ寄付。創業後わずか1年で、寄付総額は、12万5000ユーロ(約1400万円)にまで達したというから驚きだ。

発想のきっかけは南米への卒業旅行
クリスチャン・クロール

創業者のクリスチャン・クロール。2007年にバイエルン州エアランゲンにあるフリードリッヒ・アレクサンダー大学で企業経営学を修了後、旅行で訪れたアルゼンチンで熱帯雨林の重要性に直面。地球環境を保護するための検索サイトを立ち上げた。

創業者のクリスチャン・クロール(27)が、故郷・ヴィッテンベルクで「エコシア」を立ち上げたのは2009年の12月7日のこと。エコシアの前身は、ドイツ語圏だけに対応した検索サイト「フォレストル(Forestle)」で、エコシアはその発展形である。創業のきっかけとなったのは、大学卒業後に訪れたアルゼンチンで、熱帯雨林の危機を目にしたことだった。エコシアによると約3000万種の生物がいる熱帯雨林は、二酸化炭素の吸収など地球の環境システムの中で重要な役割を果たしているが、過去50年でその半分が破壊されたとのことである。これは1分ごとにサッカー場30個分の広さの熱帯雨林が破壊され続けている計算になり、その現実に愕然としたクロールは「熱帯雨林を守ることで、少しでも二酸化炭素の量を減らしたい」と創業に至った経緯を語る。

2010年12月14日には、サイトリニューアルを遂げた。検索機能をニュースや地図、画像にまで広げ、世界中の人々に使ってもらえるようにグローバルに対応したサイトとなった。ドイツ語圏から世界へと羽ばたくエコシア。利用者の内訳を見ると、半数以上がドイツから、8割までがヨーロッパからとなっており、まだまだ発展する可能性を秘めている。リニューアルによって日本語でも検索できるようになったので、ただ検索するだけではなく地球の環境保護に一役買ってみてはどうだろう。世界の人々の協力でクリック数が増加すれば、より広大な熱帯雨林の救出へとつながるに違いない。

特派員プロフィール

島田ライコ(しまだ・らいこ)
フリーライター。横浜国立大学卒業後、ビジネス誌、男性一般誌の編集者を経て2005年に渡独。ミュンヘン工科大学 で農学とビール学を学ぶ。ドイツに関する情報を各誌に執筆。http://raiko.blog.so-net.ne.jp

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