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世界IT事情 ITを通じて世界の文化を見てみよう!第52回 台湾、台北市発

面積3万6千平方キロメートルと九州よりやや小さめで、人口は約2316万人。日本に好意的な感情を抱いている人が多く、日本のTVドラマ、アニメ等は人気が高い。台北市は台湾最大の都市で、人口は約262万人。交通機関が他の台湾の都市よりも充実しているだけでなく、街に漂う雰囲気が東京に似ているため、日本人にとって観光しやすいのが魅力。

交通カード機能付き腕時計の使い勝手や如何に?

現在使用中の悠遊ウォッチ(2代目)
時計の右に悠遊カードのマークがある

現在使用中の悠遊ウォッチ(2代目)。時計の右に悠遊カードのマークがある。

機能性と遊び心、あなたはどっち?

日本では、Suicaに代表される非接触型ICカードの交通カードが各地にある。単なる交通カードとしてだけではなく、電子マネーとしても使えることから、便利に使っている人も多いはずだ。
台湾でも同じように「悠遊カード」というものがある。こちらは、主に台北地区の主要交通機関であるMRT(地下鉄)と路線バスで使用することができ、昨年4月から電子マネー機能が本格化され、大手のコンビニ等でキャッシュレスの買い物もできるようになった。

悠遊カードとSuicaは、ほぼ同じ時期に発売され、同じような進化を遂げてきたが、その方向性は違うようだ。
大きな違いは、日本では当たり前のようにある「定期券」が悠遊カードには無いことだ。その代わりに、カード使用者は通常の運賃から2割引(一部路線は3.6割引)で精算される。そして、MRTの改札口を出てから1時間以内に路線バスへ乗り継ぐと8元(約22円/1元=約2.75円)引き、という特典もつく。バスからMRTへ乗り継ぐ場合も同様に、MRTの乗車割引運賃から更に8元引きとなる。
ちなみに、台北地区のバスの運賃は距離にもよるが、台北市と新北市(台北市郊外)間の移動といった長距離でなければ、通常15元(約42円)。半額になる計算だ。

もう一つ、大きな違いがあるとしたら、Suicaは、乗車券などの主要機能に比重を置いて商品開発を行なっている感があるが、悠遊カードは機能性だけでなく、遊び心やファッション性がある商品開発を行なっている。というのも悠遊カードは、折に触れてデザインの豊富な記念カードを発売している。また、パンダやドラえもんをデザインしたキーホルダータイプだけでなく、時計にバンドルしたタイプまで発売されている。

こんな感じでMRTの改札口で時計をかざす

こんな感じでMRTの改札口で時計をかざす。

サイフはいらない。いつも手首に電子マネー

時計タイプは、私も愛用しているが、これはなかなか侮れない代物だ。人気時計メーカーSwatchと提携して作られたもので、名前は「悠遊ウォッチ(日本語訳)」。
最初のモデルは2006年に数量限定で発売。今、販売されているのはカップルをデザインしたもので白、黒と2種類あり、台北駅地下にあるMRTのショップや台北市内のSwatchショップで販売されている。価格は、最初のデザインが1600元(約4,489円)、現在のデザインは、私が2007年に買ったときは1700元(約4,770円)だったが、今は2150元(約6,032円)。台湾人にとって「安い!」と言える金額ではないが、私はその便利さを謳歌している。
まず、コンビニで簡単な買い物をする時に、いちいち財布を出さなくてもいい。また、MRTの改札通過時とバスの乗り降りのたびに、悠遊カードが入った財布、パスケース等を感応機にかざす必要がなくなった。腕時計なので、これは楽だ。
唯一の難点と言えば、日本と違って残金がマイナスでもバスに乗車出来てしまうことだろうか。これは、下車時に料金を支払うためで、残金がマイナスの状態で気付かずにバスを降りると、感応機からNGを意味する「ブー」という音が聞こえる。ラッシュ時でこれは、非常に恥ずかしい。
この悠遊ウォッチ、私は便利この上ないと思っているが、実は台湾では今ひとつ浸透しておらず、人々の認知度も反応もどこか鈍い。書いたように昨年4月からコンビニなどで支払いが出来るようになったが、昨年6月、台中へ行った時、こんな出来事があった。
コンビニでジュースを買ったときに、「支払いは悠遊カード」といって時計をかざしたところ、それを見た店員が後ろへ飛び上がってビックリしていた。さすがに、台北ではこんな経験はないのだが。さほど大きくない台湾内で、反応がここまで違うとは。まあ6月から台中でも路線バスで悠遊カードが使えるようになったので、そんな話も早晩、過去のものになるだろう。

特派員プロフィール

小川聖市(おがわ・せいいち)
これまでも年に5、6度は台湾を訪れる台湾好きが高じて、2010年8月移住。台北市郊外の新北市に在住。野球の国際試合におけるTV中継用の情報提供や、チャイニーズタイペイ代表の紹介原稿執筆等を担当。そのほか旅行ガイドブックのほか、さまざまなジャンルの原稿を執筆中。

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