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※オンライントレード売買代金には信用取引(証券会社から資金や証券を借りて行う株式売買)の売買代金も含まれています。
日本証券業協会「インターネット取引に関する調査結果について」より
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上の何ともスゴイ金額は、2003(平成15)年度上半期(4〜9月)に個人投資家がインターネットを介して行った株取引の売買代金。日本証券協会の調査によると、上期間の個人による株取引の7割がインターネットを使った「オンライントレード」で、その割合は昨年度下半期の5割から大きく増加。オンライントレード用の口座数も前回調査から33万ほど増え、過去最多の424万口座になっている。
オンライントレードが本格的にスタートしたのは4年前。1999(平成11)年10月の株式売買手数料の完全自由化に伴い、証券各社が手続きに人手を介さないオンライントレード・サービスを一斉に導入し始めたためだ。
わずかな期間でここまで利用が広がった理由の一つに、インターネットならではの手軽さがある。ネットにアクセスできる環境さえあれば、どこからでも簡単に売買注文が出せるので、会社勤めの人でもちょっとした空き時間にオフィスのパソコンや携帯電話から注文することができる。また、日中忙しい人なら、夜間に翌日分の注文をあらかじめ送信しておくこともできるし、証券会社によっては「夜間取引」という独自のシステムを導入して株式市場が閉まった後の売買を受け付けている所もある。
実際に試してみると、従来のように営業担当者に電話することなく自分で売買注文を出せるのは、予想以上に気軽で快適なもの。投資情報もインターネット上にたくさん掲載されているので、そう困ることもない。
もう一つの理由は、やはり手数料の安さだろう。例えば株の売買代金が50万円だった場合、自由化前ならばどの証券会社で売買しても手数料は5750円だったが、今なら1000円以下の手数料を設定している証券会社も少なくない。株式投資は売買時の差額が利益になるわけだが、手数料は当然、買う時と売る時で2回徴収される。つまり、この例の場合なら5750円×2回で1万1500円も違ってくるのだ。
また、手数料が安くなれば、わずかな値動きでも利益を出すことができる。以前のように手数料分を考慮して株価が大きく動くのを待つ必要がなくなったことで、個人投資家が一つの株を購入してから売却するまでの期間が短くなり、売買回数が増えるようになった。さらに1日のうちに何度も売買を繰り返す“デイトレーダー”も急増中。これは日中ずっと株価をチェックし続けているような、いわゆるプロの投資スタイルだが、最近では時間と資金に余裕のある高齢者がパソコンで日に数回から数十回の売買を繰り返すケースが少なくないと言う。
バブル期並みの出来高(売買取引の成立総数)を記録し注目を集めた03年度上半期の株式市場だが、そこにはオンライントレードで売買を続ける個人投資家の動きが大きく影響していた。これまで株式市場では外国人投資家や国内の機関投資家の動向ばかりが大きく取り上げられてきたが、今後は個人投資家が主役として注目されることも多くなりそうだ。
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