老眼は、正視の人にも近視の人にも平等に起きる現象です。平均的な43歳の人を例にとって説明してみましょう。正視の人の場合、この年齢なら、近点距離は約30cmですから、眼の前30cmから無限遠方までピントを合わせることができます。これに対して、中程度の近視の人がはっきり見ることのできる場所は眼の前14〜25cmで、そこから先はボケてしまうわけですが、ぴったり合った眼鏡を掛ければ正視の人と同じ条件になります。さて、2年後、二人に老眼の症状がでてきます。正視の人の近点距離は40cmになり、新聞を少し離して読むようになります。近視の人も、眼鏡を掛けた状態では同様ですが、こちらは眼鏡を外しさえすれば眼の前15〜25cmの領域内で何でも読むことができます。裸眼で読めるため、「老眼ではない」と誤解されますが、近視の人が眼鏡を外して読むことは、正視の人が老眼鏡を掛けて読むことと同じことなのです。 |