答え :間違っているのは3番です。

1. 近視の人も老眼になる ○

老眼は、正視の人にも近視の人にも平等に起きる現象です。平均的な43歳の人を例にとって説明してみましょう。正視の人の場合、この年齢なら、近点距離は約30cmですから、眼の前30cmから無限遠方までピントを合わせることができます。これに対して、中程度の近視の人がはっきり見ることのできる場所は眼の前14〜25cmで、そこから先はボケてしまうわけですが、ぴったり合った眼鏡を掛ければ正視の人と同じ条件になります。さて、2年後、二人に老眼の症状がでてきます。正視の人の近点距離は40cmになり、新聞を少し離して読むようになります。近視の人も、眼鏡を掛けた状態では同様ですが、こちらは眼鏡を外しさえすれば眼の前15〜25cmの領域内で何でも読むことができます。裸眼で読めるため、「老眼ではない」と誤解されますが、近視の人が眼鏡を外して読むことは、正視の人が老眼鏡を掛けて読むことと同じことなのです。


2. 老眼は予防できる ○

老眼は、老化現象だから予防できない、治らない、というのが医学的な常識でしたが、「足腰の衰え」や「心肺機能の低下」「動脈硬化」といった老化現象が、意識的に体を動かすことで予防・改善できるように、老眼もトレーニングによってある程度予防できると考えられます。調節トレーニングの効果の有無を判定するために行った調査では、「2ヶ月間の調節トレーニングで40歳代の老眼は改善する」という結果がでています。


3. 早い時期に老眼鏡を掛けた方が良い ×

老眼が進むと、いくら頑張っても水晶体が厚くなれないために、今までと同じ距離で新聞や本を読むには、不足分の凸レンズで補わなければなりません。これが老眼鏡です。老眼鏡を掛けることで眼は苦痛から解放されます。ピントは近くに合うようになり、毛様体は「何とかして水晶体を厚くしよう」という努力をする必要がなくなり、眼は楽になります。人によっては、老眼鏡を掛けることによって頭痛や肩凝りが治る場合もあるようです。しかし、頑張ればまだ新聞の距離にピントを合わせることのできる、初期の老眼の人が老眼鏡を使い始めると、少し足腰の弱った人を歩かせないようにするようなもので、毛様筋や水晶体を怠けさせるため、より早く老眼が進行する可能性が考えられます。しかし、もちろん、症状が重く、トレーニングの効果が期待できない場合は、眼鏡装用が最良の方法になります。


4. 老眼はある年齢で進行が止まる ○

遠くを見ている時と近くを見ている時では、水晶体の厚さが変化し、ピントを調節します。しかし、40歳を過ぎた頃から、毛様筋の衰えや水晶体の弾力低下によって、徐々にこの機能が低下し、50歳前後になると、水晶体はまったく厚みを変えられなくなります。これが老眼の最終段階です。かなり個人差はありますが、通常、ここで老眼は「完成」し、それ以降はあまり進みません。


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