30年の間に3度のリニューアルを経て、現在の形になったキャンパスノート。近年は学童数の減少、PCの普及などで、需要は徐々に減少傾向にあるという。
それでも、キャンパスノートは今でも年間6,000〜7,000万冊を販売するノート界のトップブランドだ。スタンダードな無線綴じタイプだけでも、サイズや罫の太さなどによって約100種類がラインアップされている。スパイラルノートやバインダーノート、学用ノートなどを加えれば、そのファミリーは膨大な数になる。
「昔はノートは記録するためのものでした。だから良いもの、使いやすいものが選ばれたんです。今の方はメモ代わりに使うという感覚なので、それほどこだわりがないんですね」と、同社で企画開発を担当する斎藤未生子さんは語る。
確かにその通りかもしれない。今や私たちはメモや下書きを取るためにノートを使い、文章をまとめる際にはパソコンを使っている。キャンパスノートを使っていても、昔のように記録を残すために使っている人がどれだけいるだろう。
コクヨは、そんなノートの使われ方に危機感を抱いている。
「仕事や学習といったシーンだけでなく、これからは趣味のシーンで使われるノートが増えてくると思います。こだわりを持った人に選ばれるノートを提供していきたいですね」
そんな思いが形になったのが、昨年発売された「キャンパスノート〈パラクルノ〉」と「キャンパスノート(スリムB5サイズ)」。
キャンパスノート〈パラクルノ〉は、切り口の上半分と下半分に逆方向のナナメカットを施し、裏表どちらからでも簡単にページをめくれるようにしたユニークなノート。キャンパスノート発売30年を記念した『コクヨ
デザイン アワード 2002』の受賞作品を製品化したもので、ユニバーサルデザインの考え方を取り入れている。
もうひとつのキャンパスノート(スリムB5サイズ)は、人間工学に基づき、ノートのサイズを「使われ方」視点で再考した製品。無駄なく使える書きやすいサイズ、視野に収まる読みやすいサイズ、片手で持ちやすいサイズを同時に実現するために、横幅を146mmに抑えているのが特徴だ。
キャンパスノートは、実用ノートの新しいスタンダードを打ち立てた。今はそのスタンダードが再び見直される時期なのかも知れない。もちろんコクヨのことだから、きっと素晴らしく魅力的なノートを作ってくれるだろう。
次世代のキャンパスノートはどんな形になっているのだろうか。 |