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「Z-999」(16,590円)。現代のZライトを代表するベストセラー。デザインはイタリアで活躍する浅原重明。色は黒とライトグレーがある。 |
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「Z-999トランスルーセント」(16,275円)。ビビッドなスケルトンカラーで人気を集めるモデル。初代iMacが出た頃もずいぶん売れたという。 |
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歴代Zライトの中でも、最もシンプルなデザインといえる「Z-107」(7,140円)。誰もが一度は目にしたことがあるはずだ。色は黒と白の2色。 |
現在、山田照明は1年に1作の割合でZライトの新型モデルを登場させている。もちろん消えてゆくモデルもあるので、常時製造されているモデルはだいたい10〜20種類ほど。現行Zライトのカタログには、蛍光灯タイプ、白熱灯タイプ、コンパクトスタンド、スペシャルタイプ(プロ用)合わせて、計24種類がラインナップされている。
中でもベストセラーとなっているのが、1994(平成6)年に発売された「Z-999」と、その2年後に発売された「Z-107」の2モデルだ。
Z-999は楕円断面のメインアームとテンションロッドを組み合わせたパラアームを採用した初めてのパーソナルユース・モデル。蛍光灯は短めの細管を使っている。セードの傾斜角度や上下左右の動きが、より滑らかになっているのが特徴だ。ここ数年のスケルトンブームから、最近はトランスルーセントタイプが売れているという。
Z-107は伝統の5本アームを継承する白熱灯タイプ。洗練を極めたといった印象のシンプルデザインが特徴で、これを会社で使っているという人も多いのではないだろうか。実際、今でもデザイン事務所や建築事務所ではよく見かける。
Zライトが最もよく売れていたのは、70〜80年代にかけて。バブル後の90年代以降は、競合他社の参入が増え、販売数がピーク時の6〜7割くらいになったという。工業用の需要が大きいため、やはり景気の動向に左右されやすい商品なのだ。
それでも去年から今年にかけては、それまでの倍近い数のZライトが売れている。
「Zライトは毎年10〜4月が需要期なんです。それが今年は8月に入ってもまだ売れている。照明自体の市場性が変わったような気がします」(小峰)
最近は、小学校に上がったばかりの子供に、親がトランスルーセントのZ-999を買い与えることも珍しくないらしい。子供だから安い学習スタンドでいいという時代ではないのだ。本物志向が強まり、多くの人が(目の)健康に気を配るようになった現代だからこそ、再びZライトが注目され出したのかもしれない。
現在、学習スタンドの市場は、アジアで生産される安価な製品がその中心を占めている。Zライトのように1台1〜2万円前後の製品は、全体からすれば少数派だ。逆にこれ以上の価格帯になると、インテリア性を重視した輸入品の分野になってしまう。
Zライトは高度な実用性と優れたデザインを武器に、学習スタンドの世界で独自のポジションを守り続けてきた。そこにあるのは、真似されることはあっても、真似することは決してない──オリジナリティに徹するという姿勢。
誕生から50余年……創業者が願ったように、Zライトは「究極のスタンド」に一歩一歩近づいている。 |