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オリックス自動車株式会社
レンタカー営業本部
カーシェアリング企画部長
髙山光正さん。
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地球温暖化対策として、カーシェアリングサービスに注目が集まっている。しかも、このサービスはパソコンや携帯電話からネットに接続することで24時間いつでも予約できるのだ。日本のカーシェアリングの先駆けで、最大のサービス提供者であるオリックス自動車株式会社レンタカー営業本部髙山光正部長に、同社のカーシェアリングサービス「プチレンタ」についてお話を聞いた。
「カーシェアリングはもともとヨーロッパで始まったシステムで、クルマの渋滞や駐車場不足を解消する手段として、またクルマの所有者のコスト削減のために、クルマの所有形態の一つとして1980年後半に考案されたものです」
カーシェアリングは、登録した複数人が多数のクルマを共同で所有し、自分の都合の良い時間に利用、使用した分だけ費用を負担する(つまり、費用をシェアする)というサービスだ。使用頻度が週に数回と少なく、使用時間も短時間の人にとっては、クルマの購入費用、駐車場や保守のコストがシェアでき、「安くクルマを利用できる」ことが最大のメリットとなる。
「都市部でクルマを所有している人の多くが週に1〜2回、しかも短時間しかクルマを使っていないという現状で、カーシェアリングというサービスは有効な選択肢だと思います。また、法人などで駐車場の関係からクルマの数を増やせないとか、コストを削減したいという要望にもカーシェアリングは対応することができます」
クルマを所有すると、本体価格のほかに駐車場、メンテナンス、法定点検、燃料、自動車保険、自動車税など多くの経費がかかる。特に都市部の場合、駐車場代が高く、使用頻度が少なければ少ないほど、負担が大きいと言える。こうした負担を会員間でシェアし、使用頻度に応じて料金を払うのが「カーシェアリング」なのだ。
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レンタカーとカーシェアリングの比較 |
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レンタカー |
カーシェアリング |
利用時間 |
長時間(6時間以上) |
短時間(6時間以内) |
移動距離 |
長距離 |
短距離 |
クルマのサイズ |
軽自動車〜大型 |
軽自動車・コンパクトカー |
利用者 |
不特定多数 |
会員制 |
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クルマを所有することで発生するさまざまなコストを会員間で分担(シェア)し、使った分だけ支払うのがカーシェアリング。
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必要なときだけクルマを借りるサービスとしては「レンタカー」があるが、レンタカーでは「不特定多数」の人が対象なのに対して、カーシェアリングは「会員制」で、あらかじめ利用する人の数が想定できることがポイントだ。更に、レンタカーは「長時間、長距離」利用に適しているのに対し、カーシェアリングは「短時間、短距離」に適している。従って、クルマのサイズも、レンタカーは軽自動車から大型車までラインナップがあるが、カーシェアリングは軽自動車・コンパクトカーが中心である。つまり、レンタカーを借りるほどではないが、クルマをちょっと使いたい時に便利なのがカーシェアリングだ。
日本でのカーシェアリングの歴史は、1999年に横浜市における電気自動車の共同利用実験として始まった。財団法人自動車走行電子技術協会が主導し、オリックス・レンタカー株式会社(オリックス自動車の前身)を始め、スズキ株式会社、日本電気株式会社など数社が参加して、電気自動車を使ったカーシェアリングの実験を行った。
この実験に参加した企業が中心になり、電気自動車のカーシェアリングをサービス提供する、シーイーブイシェアリング株式会社を2002年に設立。その後、オリックスグループの全額出資により、2007年からオリックス自動車が事業を継承し、「プチレンタ」という名称でサービスを提供し、現在に至っている。
「ヨーロッパでカーシェアリングが始まったときは、セルフタクシーや共同保有という位置づけで、公共交通手段の一つとして考えられたのですが、日本ではレンタカーの一形態と考えられているのが現状です」
だが、実際にサービスを導入してみると、利用者にとってはコスト削減になり、また社会にとっては地球温暖化防止に役立ち、都市交通の不備を補完し、駐車場の不足や交通渋滞を解消することなど、さまざまなメリットがわかってきたのだ。
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