クラウドサービス開発実践事例から見る「DevOps」アプローチ ~コロナ禍でのリモートワーク×アジャイルとは?~
-IDC Online Event講演-

2020/11/24

2020年11月5日(木)、IDC Online Event「DXを成功に導くための「真」のDevOpsの実践」において、クラウドサービス「DevaaS® 2.0」のプロダクトオーナーで、アソシエイトエバンジェリスト (DevOps)である上栗泰一が講演した。

開発環境クラウドDevaaS® 2.0

DevaaS® 2.0はDevOpsを推進するための開発環境クラウドサービス。「開発環境に特化したプライベートクラウドを誰でも簡単に」をコンセプトに、開発シンクライアント、試験サーバーといった開発環境に必要なリソースを、直感的・シンプルに操作・管理できるユーザーインターフェースを提供している。

NTTコムウェアは、俊敏なサービス拡充、より使いやすいユーザーインターフェース提供といったDevaaS® 2.0のサービス価値の向上を目的に、「DevOpsを推進するDevaaS® 2.0」サービスの開発にて、自らDevOpsを実践している。

その取り組みの過程で必要であったこと、課題を3つピックアップし取り組みを紹介した。

DevOpsサービスセンタ運営とフィードバックサイクル

1つめの課題が、「体制・ルール整備」である。
DevOps推進における体制確立が重要であり、関連組織も多岐にわたっていたため、組織の枠組みを超えた連携が必要となっていた。
NTTコムウェアでは、組織横断で専門家集団を集めた体制として2016年12月に「DevOpsサービスセンタ」を設立。
DevOpsサイクルの中心は「ユーザーの声に応える運用」と捉え、サービス運用(Ops)を中心として、ビジネス企画(Biz)、アプリケーション開発(Dev)とのフィードバックサイクルを実現している。
DevOpsサービスセンタ運営の中では、月次で開催される「DevOpsサービスセンタ会議」や、DevOpsサービスセンタから生まれた各種施策をDevaaS® 2.0サービスで実践している。
各種施策や俊敏なサービス拡充を実現するため、社内の意思決定ルールにもメスを入れ、従来のウォーターフォールの受託開発に合わせたルールを、DevOps/アジャイルに適したルールへの見直しも図っている。

開発スピードとセキュリティを両立する「DevSecOps」

2つめの課題は、「開発スピードとセキュリティの両立」である。
俊敏なサービス開発、リリースをめざしつつ、セキュリティ対策は無視できない。
NTTコムウェアでも静的診断(SAST)、動的診断(IAST)、出荷前診断(DAST)等のセキュリティ診断を行っており、開発スピードとの両立を図る必要があった。
DevaaS® 2.0では、静的診断、動的診断を開発サイクルにセキュリティツールとして組み込み自動化。開発チーム自身で脆弱性を早期に発見し対処することで、開発スピードを大幅に高速化できる。
このDevSecOpsの取り組みを、NTTコムウェア全社プロジェクトにも展開し、全社全体の開発サイクルの高速化を実現している。

コロナ禍に負けないリモートワークでのアジャイルの進め方
~リモートだからこそスクラムをより『密』に~

3つめの課題が「リモートワークでのアジャイル」である。
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、リモートワークが推進される中、NTTコムウェアではリモート開発環境をDevaaS® 2.0に集約して情報を一元管理。約1カ月でリモートワークでのアジャイル開発環境を整えた。この実績をもとに多くのお客様のリモート開発へのシフトを支援している。

NTTコムウェアでも、リモートワークによって開発のやり方は大きく変化した。
リモートスクラムの確立に向けて、情報交換、スクラムイベントをチャットやWeb会議ツールで代替し、オンライン化すること自体は容易であるが、それだけではスクラムはうまく機能しない。リモートでは、コミュニケーションやマネジメント・タスク管理など、対面では自然と保管できていたことが運営上課題になり、アクションを打つ必要がある。
コミュニケーションの観点では、Webミーティングに常時接続するなど、メンバーが自ら情報の取得や発信を活発に行えるように促したり、スクラム内のタスクを成果物単位から作業単位に細分化、明示化することで、タスクの停滞を早期に発見できるようにするなど、リモートならではのルール改善を行った。

コロナ禍でリモートワークを実践して得た教訓。それは「リモートだからこそスクラムをより『密』にすること」であり、従来の仕組みやルールにとらわれず、自分たちの価値向上を追い求め模索することこそが大切なのだ。

講演の終わりに、聴講者からオンラインで多数の質問が寄せられた。
質問応対の中で、新しい技術と旧来の技術が混在する文化・風土改革の難しさ、顧客志向を浸透させるためには、今までの事例を否定せず、新しく作りあげる意識や、実プロジェクトでの実践を繰り返し、メンバ自身が体験することの重要性などといった持論を展開。
これからのDevaaS® 2.0のロードマップとして、開発環境クラウドに蓄積される開発データの活用や、開発から商用環境まで一気通貫のDevOpsサイクルの提供を見据えた後継サービス「SmartCloud® Duo」のさらなる拡充などの構想を示した。

(写真左:IDC Japan株式会社 入谷光浩氏、写真右:上栗アソシエイトエバンジェリスト)

上栗アソシエイトエバンジェリストの講演動画はこちら
IDC Japan株式会社 入谷光浩氏の講演動画はこちら

※「SmartCloud(スマートクラウド)」、「SmartCloud」ロゴ、「DevaaS」は、NTTコムウェア株式会社の登録商標です。

※ その他、記載されている社名、商品名などは、各社の商標または登録商標である場合があります。

アソシエイト エバンジェリスト(DevOps)

上栗 泰一
NTTコムウェア株式会社
ネットワーククラウド事業本部

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