今や世界のサーバー用OSの25%のシェアを占め、マイクロソフト社のWindowsを脅かす存在にもなっている「Linux(リナックス)」。本書はその生みの親であるリーナス・トーバルズ氏の自叙伝なのだが、そういった類の書籍にありがちな堅苦しさは少しもない。
フィンランド生まれのコンピュータ・オタクが、新しいOSの基本部分を一人で作り上げ、「オープンソース」というルールに則って世界を大きく変えていく“青春サクセスストーリー”として、コンピューターに詳しくない人にも楽しめる1冊となっている。
本書を通じて伝わってくるのは、「プレイボーイ」よりもコンピューターに興味があったというトーバルズ氏の筋金入りのオタクぶりと、世界中の注目を集めてからも変わることがない朴訥とした人柄、そしていつでも自分が楽しめることを大切にする姿勢。
彼はビル・ゲイツ氏と同じような億万長者になれる可能性を持っていながらも、そうならなかったということから、無欲の聖人君子のように言われることが多いが、本人にそんな意識はない。何年もかけて「Linux」の開発に取り組んだのは、“それが楽しかったから”なのだ。
自分が楽しいから一生懸命に取り組むことが出来て、いい結果も出せる。実際にそうした生き方を実践してきた人物の考えだけに説得力がある。 |