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インフラ維持作業を現場の負担なくデジタル化
インフラ維持作業を現場の負担なくデジタル化
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通信、ガス、電気、水道などの社会インフラのメンテナンスは、人々の快適な暮らしを維持する上で欠かせない。しかし、人口減少フェーズに突入した日本において、人に依存した従来型の作業プロセスではやがて業務が立ち行かなくなる。長年、アナログな運用が継承されてきたメンテナンスのフィールドワークをデジタル技術によって改善していくことが不可欠だ。その方法について、フィールドワーカー向けのサービスを提供する専門家の提言を基に考える。

アナログなインフラメンテナンス業務が直面する課題

少子高齢化を背景に、日本の労働力人口は減少の一途をたどっている。そこで問題になっているのが、長年、人に依存してきた通信、ガス、電気、水道などの社会インフラのメンテナンス業務だ。人々の暮らしの質を維持・向上するには、デジタル技術によって人依存のメンテナンスから脱却する「現場DX」が不可欠になっている。経済産業省が指摘した「2025年の崖」が、メンテナンス業務の現場にも迫っているというわけだ。具体的には、使っているITシステムの老朽化・複雑化、ブラックボックス化などがDXのあしかせとなっている。また、既存システムの問題を解決するために、業務プロセスの見直しを求められることもあり、現場サイドの混乱が大きいことも指摘されている。

「現場業務の多くが依然としてアナログな運用のままです」とNTTコムウェアの阿佐美諒氏は指摘する。従来のITシステムは現場業務を効率化するものではなく、管理が目的となっている。実際の現場では、作業の手順書やチェックシートは、紙のマニュアルやExcelの帳票で運用されていることが多い。あるいは、ツールが導入されていたとしても、進捗報告と証跡画像の送付で別のツールが必要になるなど、現場作業者の負担が大きいという。

また、そもそも業務の運用をどうするか、全社統一の方針を定めていない企業が多く、ツールや情報が組織内に散在している状態だという。当然、全体を管理する業務も煩雑になりがちだ。

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NTTコムウェア
エンタープライズソリューション事業本部
ビジネスイノベーションソリューション部
第1ソリューション部門
阿佐美諒氏

とはいえ、これまで長年、その状態で業務を進めてきた現場作業者にとって業務が変わる可能性があるデジタル化へのモチベーションは大きくない。「今のやり方で問題ないのに、何を変えるのか」「変えることで仕事が増えるのは勘弁してほしい」――。これが現場の偽らざる本音だろう。

人的リソースに限りがある中、アナログなプロセスのままでは早晩、業務が立ち行かなくなる。メンテナンス事業者の経営層や管理者は、どう生産性を高め、働き方改革を進めるかに頭を悩ませている。「変わることに不安を抱く現場と、現場DXを進めたい経営層・管理者の間に“ギャップ”が生まれています」とNTTコムウェアの辻井友涼氏は言う。

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NTTコムウェア
エンタープライズソリューション事業本部
ビジネスイノベーションソリューション部
第1ソリューション部門
辻井友涼氏

現場の「使いやすさ」を第一に考えることが現場DXの肝

ギャップを埋めるにはどうすればよいのか。

「大切なのは、既存の業務プロセスを極力変えずにデジタルの恩恵を享受できるようにすることです。そのためには、現場のIT運用のハードルを下げ、スムーズに現場DXを推進していくのです」と阿佐美氏は述べる。

NTTコムウェアのクラウドサービス「フィールドコラボ」は、現場にフィットし、現場の生産性を向上させる(図1)。作業にかかわる情報をクラウド上に一元的に集約し、現場とオフィスのコラボレーションを支援する。

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図1 フィールドコラボのイメージ
現場業務に必要な情報を集約し、離れた場所にいる現場作業者と管理者をつなぐ。
業務プロセスに合わせてカスタマイズ可能なこと、チャット形式のインターフェースで操作できることなど、現場作業者の使いやすさを重視したつくりになっている

最大の特徴は、現場作業者の負担が少なく使いやすい点にある。点検や作業報告などの項目は、現行の業務に合わせて柔軟にカスタマイズが可能。テキスト入力やプルダウン、チェック形式など入力方式も設定できる。通話や撮影機能もあり、業務フローを変えることなくデジタルに置き換えることができる。必要な機能が網羅的に提供されているため、複数のツールを使い分ける必要もない。

「ユーザーインターフェースも操作しやすいものにしています」と辻井氏は続ける。具体的には、状況報告をはじめとする多くの操作をチャット形式で行える。LINEなどのツールを日常的に使っている人であれば、新たな操作を覚えなくても簡単に扱えるだろう。また、作業開始・作業完了の報告はボタンひとつでできるため、文字の入力はいらない(図2)。

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図2 現場作業者の「作業開始」報告イメージ
現場作業者は、チャットツールのみで「作業開始」や「作業完了」などの報告ができ、管理者はWebブラウザの管理画面から作業ごとの進捗を確認できる

また、オフィス外で作業内容の確認ができ、報告業務などを完結できることも大きなメリットである。スマートフォンやタブレットでフィールドコラボにアクセスし、日報を作成したら、その場でアップロードするだけ。「これだけで、現場作業者はわざわざオフィスに戻らなくても直行直帰できます。移動の手間や時間、コストを削減し、働き方改革にもつなげられるでしょう」と阿佐美氏は説明する。

管理者のメリットも大きい。作業の進捗・報告・証跡画像、業務マニュアルや資料などが、案件ごと・作業ごとに自動整理され、管理できるようになるからだ。

フィールドコラボは、案件ごと・作業ごとに作業報告をする。情報があらかじめ整理されて保存されるため、現場から逐次上がってくる作業報告を後から仕分けたり、整理しなおしたりする必要がなくなる。進捗情報が一元管理されるため、情報を検索・確認する際の労力も大幅に削減できる。現場作業者とのチャットでのやり取りが蓄積されるため、過去の情報を業務改善に活用できる。

「作業のスケジュール管理を支援する工程表、作業に必要な図面などのファイル管理・共有機能、複数作業を一覧で同時管理できる作業情報管理機能など、管理者の業務に必要な機能も網羅的に実装しています」と阿佐美氏は付け加える。

離れた場所にいる現場作業者と管理者をつなぐ

物理的に離れた場所にいる現場作業者と管理者をつなぐことができるのもフィールドコラボの特徴だ。

例えば、ビデオ通話機能を使えば、現場での作業内容を遠隔地にいる管理者にリアルタイムに共有できる。管理者は現場の様子を見ながら、遠隔地にいる現場作業者へ手順を指示したり、ノウハウが求められる作業をリモートでサポートしたりする使い方も可能だ。

「現場作業者は見守られているという安心感を持って作業を進められるほか、技能継承にも役立てられます。管理者が現場に立ち会わなくて済むので、複数の現場を並行して確認しながらアドバイスすることも可能です」と辻井氏は話す。

外部ツールとのAPI連携にも対応している。例えば、現場帳票の電子化システムとして広く利用されている「i-Reporter」と連携が可能だ(オプション機能)。「チャット画面の下部に帳票入力のアイコンを表示させて、ボタンひとつで作業に対応した帳票を自動で呼び出すといったことが可能です。今使っている紙の帳票と同じフォーマットで報告書を作成できます」と辻井氏は紹介する。

このように、フィールドコラボには現場に必要な機能が網羅されているため、業務プロセスを大きく変えることなく、作業の発生から完了までを一気通貫でデジタル化できる(図3)。メンテナンスの大幅な効率化、省力化が実現できるだろう。

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図3 フィールドコラボの利用シーン
実施する作業ごとに、担当者をアサインし、作業準備を整える。
作業開始後はチャットやビデオ通話でリアルタイムに進捗を管理する。
複数現場からの報告も一括で管理し、現場単位で確認が可能だ

30~40%の稼働削減を実感する利用者も

フィールドコラボは既に多くの現場で導入されている。NTT東日本、NTT西日本、NTTインフラネットが共同で取り組む全国の通信設備のメンテナンス業務はその一例だ。

ほかのインフラ事業者が設備工事を行う際は、隣接するNTTの通信設備を誤って損傷することのないよう立ち会う業務が発生する。その数は年間約60万件あり、携わる管理者は延べ約200名、協力会社を含む現場作業者は約1000名に上っていた。

「以前は、全国に40以上ある拠点がそれぞれに独自の管理簿で業務を管理していました。これをフィールドコラボに集約することで情報を一元化し、共有と確認、管理をスムーズにしています」と阿佐美氏は紹介する。

オペレーションが効率化され、現場作業者は直行直帰が可能になった。導入後のアンケート調査では、現場作業者、管理者から30~40%の稼働削減を実感したという声もあった。情報の集約と管理の効率化、コミュニケーション改善が高い効果を上げることを裏付けた事例といえる。

「当社はNTTグループの一員として、通信インフラの整備やメンテナンスをITの側面から支援し、情報管理システムの設計・開発・保守運用を担ってきました。そのため、フィールドワークに何が求められ、どのような課題があるかをよく理解しています。これを生かしたのがフィールドコラボです」(阿佐美氏)。ノウハウを生かすことで、導入時の支援や業務に合わせたカスタマイズにも対応可能だという。

長年、アナログな業務が当たり前だったフィールドワークの現場で、テクノロジーの視点だけをもってDXを推し進めることは困難だ。現場の業務に寄り添い、現場の負担を抑えながらデジタル化を進める。フィールドコラボは、現場にデジタル化の恩恵をもたらす画期的なサービスといえる。現場DXの可能性を体感してほしい。

2024/03/28

  • ※ 商品およびサービスの内容は、予告なく変更する場合がありますので、あらかじめご了承ください。
  • ※ 「フィールドコラボ」は、NTTコムウェア株式会社の登録商標です。
  • ※ その他、記載されている社名、商品名などは、各社の商標または登録商標である場合があります。
  • ※ 所属部署、役職等については、取材当時のものです。

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