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同窓会ウエブ「ゆびとま」の登録会員は270万人:小久保徳子さん
コム人対談
小久保徳子さん

Part1 「ゆびとま」の誕生

 コンピュータで何をやりたいのか!?
 ボランティアに後押しされて株式化を断行

Part2 自浄作用の働く空間

 ゆびとまは「セントラルパーク」

Part3 サイバーとリアルの融合

 良質の出会いを演出する”正しい”出会い系



Part2 自浄作用の働く空間

矢野

現在の会員数はどのくらいですか。

小久保

登録のべ数は約268万人(2003年12月現在)で、小学校から大学、予備校まで全国5万校を網羅しています。1人の会員が平均2校ずつ登録していますので、ユニークユーザー数(重複しない純粋な会員数)は148万人です。毎週発行するメールマガジンの読者は95万人。そのうち、1日に約8000人がサイトを訪れています。

矢野

ユーザーからの反響はいかがですか。

小久保

海外で同窓会を開くことができたとか、恩師に出会うことができた、旧友と再会して結婚したといった感謝のメールは多いですね。その反面、幹事がいないと同窓会が開けない、登録したが何の連絡もこないという会員もいます。

矢野

僕が自分の中学校に登録してみたら、すでに150人が登録していました。彼ら宛てにメッセージを書くと届けてくれるわけですね。

小久保

私書箱のようなもので、預かったメールのアドレスは非公開にするために、事務局がいったん受けとって、事務局から相手に届けます。本人同士には直接、メールが行かないようになっています。もちろん名前はわかりますが。

矢野

会社としての収入源は、サイトやメルマガの広告が主体ですね。実用情報やショッピングなどの付加サービスはまだしないのですか。

小久保

現在、270万人近くが登録しているといっても、再会を実現できていない人が多いので、そういった付加サービスは次のステップです。収入としては広告料だけでは足りないので、もともとの本業であるシステムインテグレーター(SI)事業との2本柱です。現在、SIが伸びてきて、収益では近々逆転する見込みです。SI事業は長崎でやっており、社員は16人おります。

矢野

ゆびとま事業だけでは採算はとれませんか。

小久保

ビジネスモデルが成り立つにはもう少し時間がかかりそうです。しかし、来年は単独で黒字化したい。株式会社化して3年たち、ようやく事業化計画を立てられるようになりました。

ゆびとまは「セントラルパーク」

矢野

ゆびとまの理念として「善を再確認し、信頼を取り戻すところ。摩天楼に囲まれたセントラルパークのごとく」と書いておられますが、この意味は?

小久保

ニューヨークでは摩天楼に囲まれたビジネス街の中にポッカリとセントラルパークがあり、ニューヨーカーはこの公園を大事にしています。掃除などもボランティアで市民たちがやっており、ある種の冒していけない空間なんですね。どろどろとしたビジネス街の中に自浄作用の働く空間がある。実はゆびとまこそ、このセントラルパークではないかと思ったのです。
 ゆびとまは、最初から主催側が会員を指導するとか、リードするのではなく、理解していただいて協力してもらうことを大事にしてきました。中には悪戯やいやがらせをする人もいますが、すぐに拒否するのではなく、理解してもらって何とか受け入れていきたい。この空間では悪いことをしてはいけないという雰囲気が大切だと思います。
 実際、「このサイトに来たら、悪いことはできない」というメールも来ますし、「昔、意地悪された人と仲良くなった」というメールも来るんです。

矢野

メールは1日、何通ぐらい来ますか。

小久保

1000通は来ますよ。毎晩、斜め読みでも全部目を通しています。返事が必要なものはサポートスタッフが扱いますが、100通〜200通ほどです。これは1日のうちで最も重労働であり、かつ楽しい作業でもあります。

矢野

コミュニティづくりという小久保さんの思いが、これまでに裏切られたことはないですか。

小久保

誤解など、悲しい思いは何度もありますが、裏切られたことはないですね。

矢野

2002年からスタートした「ケータイゆびとま!」のサービスはどのようなものですか。

小久保

ゆびとまのインフラはパソコンのウエブもケータイも同じですが、ウエブは無料なのに対して、ケータイは有料会員制でやっています。登録するまでは無料ですが、再会した相手とメールのやりとりをするときには手数料をもらう仕組みです。現在、会員登録数はのべ8万1000人(2003年12月現在)、ユニークユーザー数は3万8000人です。じつはウエブでもメールのやりとり段階で手数料を検討したいのですが、無料の歴史が長いもので、なかなか切り替えが難しいですね。

矢野

「稲門コミュニティ」というサービスは何でしょうか。

小久保

これはコミュニティの構築支援サービスです。ゆびとまのノウハウを生かして、オフィシャルな同窓会サイトの開発運営を支援するもので、その第一号として納品したのが早稲田大学向けの「稲門コミュニティ」です。今年も何校か注文をいただくことになっており、今後、当社の有力な商品として期待しています。

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Part3 「サイバーとリアルの融合」
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