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日本デザイン探訪〜「今」に活きる日本の手技 益田文和

Vol.12 大人になってもランドセル ランドセル×カメラバッグ

満開の桜とランドセル。何十年と繰り返されてきた日本の春の光景だが、あのランドセルのような鞄にカメラを入れて歩きたいといつも思っていた。カメラバッグというと、いかにもそれっぽいごつくて泥臭いものばかりで、本職が仕事で使うなら仕方ないとしても、普段持ち歩く気にはならない。だからと言って、そうと悟られないように作り込んだカメラバッグは、更に野暮ったくてぐったりする。なぜ、ランドセルのような上質で機能的ですっきりとした真っ正直な革鞄がないのだろうと考えていたのだが、やっと見つけた。
JR山手線日暮里駅から舎人ライナーに乗り換える。舎人を「とねり」と読むのは難しいが、千五百年以上も昔から天皇に使えたエリート公務員のことらしい。東京都の北端、足立区の埼玉県境にその舎人の地名が残っている。3年前に開通した高架式自動運転のニュートラム、舎人ライナーがゆっくりと北上し隅田川に次いで荒川を渡る辺りは、東方はるかに視界が開ける。西新井大師西駅で降りると駅前の小公園に隣接して土屋鞄製造所の本店兼工房がある。
創業以来40年以上、良質な革製のランドセルを作り続けている老舗である。その実直な仕事と端正なデザインは、大人の鞄作りにも活かされていて、工房の作業も眺めることができる本店のショールームは、ちょっとした鞄ミュージアムのような雰囲気である。ここで見つけたのがランドセルのようなカメラバッグ。まず大きさが良い。パッドも付いていて一眼レフと交換レンズがすっぽり入るが、コンパクトカメラなら身の回りの小物もいろいろ入れられる。そして何よりもランドセルを彷彿させる、たっぷりとしたヌメ革のフラップが最高である。

カメラ散歩バッグ(ベージュ) 
http://www.tsuchiya-kaban.jp/

益田文和(ますだ・ふみかず)プロフィール

1949年
東京生まれ。
1973年
東京造形大学デザイン学科卒業
1982年〜88年
INDUSTRAL DESIGN 誌編集長を歴任
1989年
世界デザイン会議ICSID'89 NAGOYA実行委員
1991年
(株)オープンハウスを設立
1994年
国際デザインフェア'94 NAGOYAプロデューサー
1995年
Tennen Design '95 Kyotoを主催
現在
(株)オープンハウス代表取締役。近年は特にエコロジカルなデザインの研究と実践をテーマに活動している。
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