インドネシア、ジャワ島中央の山あいに、自然のエコシステムに基づいた永続可能な農業と暮らし(パーマカルチャー)を実践している農場を訪ねた。そこで体験したニームという苦い木の枝を使う歯みがきが気に入った。日本ではいつも歯みがき粉を使うが、果たして歯みがき粉を使わずに済ませることはできないだろうか。
その後、歯みがき粉が不要という商品を東京の有楽町駅前にあるトコーという旅行用品店に出かけて見つけた。MISOKAというイオンコーティングされた歯ブラシで、歯みがき粉がいらないという。歯ブラシを水に漬けて磨いてゆすぐだけだというのだ。にわかに信じられない感じではあったが、ロゴマークやパッケージなどのデザインの質が高く、いい加減なものではなさそうなので試しに買ってみた。
結果は「驚き」の一言である。力を入れずに軽くみがいただけでその都度、歯の裏がサラっとするのが分かる。やむを得ず歯みがき粉を使って磨いた場合でも、仕上げにこの歯ブラシを使いたくなる。イオンコーティングされたブラシの先に秘密があるらしいが、そればかりではなさそうだ。磨き心地に人の手触りが感じられるのだ。
それにしても水だけで歯が磨けるというのは旅行先ではきわめて便利である。映画「卒業」でダスティン・ホフマンがホテルのフロントで「お荷物は?」と聞かれ、ジャケットの胸のポケットから歯ブラシを一本つまみだしてにっこりする場面があった。思わずあれをやってみたくなる。
MISOKA http://www.misoka.jp/
- 1949年
- 東京生まれ。
- 1973年
- 東京造形大学デザイン学科卒業
- 1982年~88年
- INDUSTRAL DESIGN 誌編集長を歴任
- 1989年
- 世界デザイン会議ICSID'89 NAGOYA実行委員
- 1991年
- (株)オープンハウスを設立
- 1994年
- 国際デザインフェア'94 NAGOYAプロデューサー
- 1995年
- Tennen Design '95 Kyotoを主催
- 現在
- (株)オープンハウス代表取締役。近年は特にエコロジカルなデザインの研究と実践をテーマに活動している。