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日本デザイン探訪〜「今」に活きる日本の手技 益田文和

USBメモリ4種Vol.20 電子情報を記憶する美しい木片 木地師×フラッシュメモリ

東海道新幹線の米原駅で北陸本線に乗り換える。琵琶湖の東側をたどるように本州のくびれた腰のような部分を北上し、敦賀で日本海側に出ると、もう北陸である。福井県、鯖江市は日本一の生産量を誇るめがね、繊維そして漆器の産地。隣接する越前市に残る和紙や打ち刃物などとともに、伝統工芸が現代に息づく地域なのである。住宅街のような一角に、明るいカフェ風なHacoaの工房を訪ねる。
千五百年の歴史を誇る越前漆器も、多くの漆器産地がそうであるように、伝統の技を現代に引き継ぐ一方で、プラスチック成型品を化学塗料で仕上げた「うるし風」が主流を占めるようになってしまった。その市場環境の変化に対応するのは塗師にとっても大変だが、本当に大変なのは木地師であろう。手彫りの木地で、プラスチック成型品と数量や価格で張り合うのは馬鹿げている。
越前塗の木地師が作るUSBメモリー、Hacoaフラッシュメモリ"Tablet"は、小さくてかわいらしいが本物である。4GB のメモリチップを実装するケースは、本物の木を、本物の木彫技術で彫った逸品である。USBコネクタキャップを着脱してみれば、その加工精度の高さが分かる。ザラッとした肌理(きめ)が面白いチーク、ずっしりと重厚なローズウッド、鮮やかな紫色のパープルハート、輝くような白木のメープル。どれも手放せなくなる。

Hacoa USBメモリ"Tablet"
http://www.hacoa.com

PCに差して使うほどに味がスムーズに出し入れ

益田文和(ますだ・ふみかず)プロフィール

1949年
東京生まれ。
1973年
東京造形大学デザイン学科卒業
1982年〜88年
INDUSTRAL DESIGN 誌編集長を歴任
1989年
世界デザイン会議ICSID'89 NAGOYA実行委員
1991年
(株)オープンハウスを設立
1994年
国際デザインフェア'94 NAGOYAプロデューサー
1995年
Tennen Design '95 Kyotoを主催
現在
(株)オープンハウス代表取締役。近年は特にエコロジカルなデザインの研究と実践をテーマに活動している。
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