夏、旅行先でホテルに泊まる機会が増える。ホテルのバスタオルが分厚くて重たいのはなぜだろう。まるでホテルの格はバスルームのタオルのボリュームで決まると言わんばかりである。あれを毎回洗濯しているのだと考えるとばかばかしくて使う気になれないので、めったに手をつけない。そこで、使えるタオルとは何かと改めて考えた。
タオルと言えば、このところ四国や関西の産地ブランドが宣伝されているが、本当に良いものは東京にある。六本木の交差点から東京タワーを目印に飯倉方面へ少し行く。小道を右に入る角に色とりどりのタオルを並べた小さなガラス張りのショールームが見つかる。Hotmanのロゴ。この辺りを通るたび、何十年と見慣れたタオル屋さんだが、青梅にある工場で100年以上タオルを作り続けてきたという老舗だ。
上質で機能性抜群のタオルはそもそも使う綿が違う。西インド諸島の海島綿やエジプトのギザ45などで知られる、綿花の繊維の長さが平均35mm以上の超長繊維綿という綿を職人の手で丁寧に仕上げる。油脂分や不純物を徹底的に取り除くことで吸水性が高まり、1cm角のタオルを水に落とすと1秒以内に沈み始める。
用途に応じて、サイズはもちろん、ループの長さや太さから縁の仕上げまで変えているあたりに、一朝一夕ではどうにもならない本物ならではの心遣いが見て取れる。しかも値段が高くないのである。分厚いばかりで乾かないホテルのタオルも、絞るとほつれるコンビニのタオルも勝負にならない。早くタオルを投げて降参しなさい。
Hotman http://www.hotman.co.jp/
- 1949年
- 東京生まれ。
- 1973年
- 東京造形大学デザイン学科卒業
- 1982年~88年
- INDUSTRAL DESIGN 誌編集長を歴任
- 1989年
- 世界デザイン会議ICSID'89 NAGOYA実行委員
- 1991年
- (株)オープンハウスを設立
- 1994年
- 国際デザインフェア'94 NAGOYAプロデューサー
- 1995年
- Tennen Design '95 Kyotoを主催
- 現在
- (株)オープンハウス代表取締役。近年は特にエコロジカルなデザインの研究と実践をテーマに活動している。