NTTコムウェア
コム人対談
松尾勇二
ITの多面性
松尾勇二
NTTコムウェアとはどんな会社?
矢野 私自身これまで、NTTコムウェアのテレビCMは見ていましたが、どんな商品があるのか知りませんでした。NTTコムウェアとはどんな会社なのか、そのあたりからお話をうかがわせてください。
松尾 NTTコムウェアという会社ができて、この9月で満4年になりました。それまではNTTの中の技術部門でした。社内業務のコンピュータシステムに向けたソフトウェアと、電話やインターネットなどのNTTの通信事業を支えるインフラやオペレーション業務に関わるソフトウェアの開発を担当してきました。その部隊が独立してできた会社がNTTコムウェアです。
   
矢野 NTTの通信システムを動かすソフトウェアをずっと担ってきた部門が前身なのですね。NTT以外にも意欲的に進出しているそうですが、NTTとNTT以外の仕事の比率はどれぐらいですか。
松尾 4年前にはNTTが100%という出発ですから、NTT以外では後発です。去年あたり9対1になり、今年は8対2ぐらい。3年後にはNTT外を4割ぐらいにしたいと考えています。
矢野 それは海外も含んで?
松尾 いずれは、そうですね。アメリカに二つのオフィスを開設したり、コスト削減のためにスリランカや中国などでソフトウェアの試作発注をすすめたりしています。ただ私どもがビジネスさせていただいているお客さまの多くは海外展開されているビッグカンパニーですから、すでに我々も必然的に海外とつながっていると言うべきかもしれません。
矢野 BtoBのIT企業で、「技術のNTTコムウェア」と定評がありますが。
松尾 矢野さんが、テレビCMは知っていたがどんな会社か知らなかったと言われた通り、私どもの事業ドメインはコンシューマ対象ではなく企業です。だからテレビCMはなじまないのでは、という意見がありましたが、私はそうではないと考えています。会社の知名度を上げておかないと、営業部隊が外へ出てビジネスを開拓するときに苦労します。どの企業のビジネスマンもテレビコマーシャルは見るわけですから。それで広くITマーケットの仕事を開拓することになった去年から、テレビCMをスタートしました。
矢野 「Big IT」がキャッチフレーズですね。
松尾 お客様にITを活用してBigになっていただくのが我々の願いです。「お客様がBigになることをサポートするIT」という意味で使っています。
矢野 例えば、「NTTコムウェアはITの○○」と言うとしたら,どんな言葉が当てはまるでしょうか。「ITの雄」ですとか。
松尾 社員が9000人、売り上げも4000億円を超えていますから、非常に大きな会社だと思いますが、まだ「雄」とは言えないでしょうね。今は、熾烈な市場競争の中で生きていく会社を目指して、変身しつつあるときですから。
矢野 NTTコムウェアの商品で、「これは」というものをご紹介いただけますか。
松尾 企業向けのパッケージが主な商品ですが、例えば、私どもが最も多く手がけてきたキャリア事業の分野では、企業にトータルソリューションを提供するパッケージ例で「χCarrier Pro」(エックス・キャリア・プロ)があります。また、CRM(Customer Relationship Management)やSCM(Supply Chain Management )などといったインターネットによるビジネスアプリケーションを使って、組織の効率を向上させる「e-Optimization」と言われるパッケージ等もあげられます。
矢野 「システムインテグレーター」という言葉がよく使われます。NTTコムウェアもそうだと考えてよいでしょうか。
松尾 お客様から注文いただいたシステムを構築して問題解決のお役に立つという意味では、我々の仕事はまさにシステムインテグレーターです。
これまでお客様が社内でやっていた業務をコンピュータやネットワークでシステム化し、その後のオペレーションをさせていただく。そういったサービスまで提供する、いわゆるアウトソーサーとしての仕事もしています。
矢野 お客様にとって最適なシステムを考え提供するだけでなく、その先のオペレーションまでする、ということですね。
松尾

ええ、私どもがNTT事業の中でしてきたのは、ネットワークのオペレーションとして監視や制御までを含んだ仕事です。NTT全体(固定電話)では6000万を越えるお客様に、例えばお客様サービスに関わる情報管理、請求書作成・発行といったこと一切を、全国規模のビジネスシステムとしてコンピュータとネットワークを使ってやってきました。昨今では、そういったサービスをするのがITの新しい流れと言われていますが、実は我々が昔からやってきたことなんですね。

矢野 NTTコムウェアが前身も含めてやってきた仕事とは、NTTという大規模企業の、言ってみれば「縁の下の力持ち」みたいなことで、それが世の中全体にとって今重要になっている。そのノウハウをNTT以外にも提供していこうとされている、という感じですね。先ほどNTT以外では後発といわれましたが、ライバルも多いですよね。
松尾 我々はチャレンジャーとしてやっていかなくてはならない、そのために最も強化しなくてはならないのが、営業力だと感じています。
9000人近い社員のほとんどがエンジニアであり、オープンなUNIX、LinuxやJAVAなどにも対応していますから、技術的にはどのようなお客様にも満足いただけるでしょう。課題はその前なのです。営業部隊を強化して、お客様を理解し、積極的に技術やポテンシャリティを提案していかなくてはならない。
矢野 技術には自信がある。これからはアグレッシブな営業戦略を展開していくことが松尾社長の構想だと。
松尾 ええ、それが一番強化しなくてはならない我々の最重要課題です
Big IT……BtoBのIT企業で、技術に定評。
Challenger……「お客様を理解する」営業の強化が、課題。
Chance……IT不況、技術改革、企業再編…時代の変化は進出のチャンス。
Business model……ハードからソフトへ転じたIBMがビジネスモデル。
Cyber literacy……サイバー社会の読み書きそろばん。
Commitment……今、技術が問われていること。
Paradigm shift……加速するバラタイムシフト。
Tolerance……多様な価値観を内包しつつ歩むには。
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