矢野 |
IBMは、NTTコムウェアが自分たちの強みを生かして進むためのビジネスモデルであると。 |
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松尾 |
IBMのルイス・ガースナー会長が来日したときお目にかかったのですが、彼が手がけたのがまさにハードウェアからソフトウェアやサービスへビジネスの主軸を移していこうということでした。彼は、就任して10何年たつのですが、「ハードウェアをすべてコモディティ(commodity:日用品)化する」と言っていたのが非常に印象に残りました。コモディティ化には価格をものすごく下げざるを得ない。それも2割、3割ではなく、10分の1とか100分の1とかいった思い切ったコストダウンを実現しないと、ハードウェアビジネスは生き残れない。しかし、ソフトウェアやサービスの世界は、差異化ができるから付加価値が取りやすいのだ、と。 |
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矢野 |
なるほど、そこに着眼して、IBMはハードからサービスやソフトへ切り替えたということですか。 |
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松尾 |
彼はそれで実績を上げてきています。最適のソリューションを提供するには、IBMのハードウェアにこだわらない。ヒューレット・パッカードでも富士通でもどこでもいい。アウトソーシングにしても、例えば、銀行の情報システムサービスを、それまでのアウトソーサーより1、2割コストを下げて提供することで、そっくり引き取ったと話していました。ということは、IBM製品ばかりでなく、日立や富士通などいろんな会社のメインフレームも引き受けてしまおうということなんですね。 |
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矢野 |
それこそ、NTTコムウェアのコア・コンピタンスだと。 |
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松尾 |
ええ、我々はもともとマルチベンダーです。今NTT向けにつくっているものにしても、日立や富士通、IBM、NECであってもかまわないわけですから。
そういう意味では、ルイス・ガースナー率いるIBMが目指しているビジネスモデルを、我々は既に実践してきているとも言えます。ただ我々はまだIBMほど筋肉体質でないし、相手のビジネスを理解する力も不十分です。そこの部分をどう構築し拡大していくかが、私どもの会社にとって非常に重要になってきていると思っています。 |
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矢野 |
会社としてこれからやるべきことはたくさんあるし、またやれるという強い気持ちをお持ちだということですね。ハードからソフト中心の世の中になってきたのは、あらゆる情報がデジタル化したことと密接な関係があると思います。一時的には混乱もあるでしょうが、僕は非常に面白い時代でもあると思っています。 |
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松尾 |
そうだと思います。通信ネットワークとコンピュータが今のように密接に結びついたのは、日本ではここ数年ですよね。インターネットによって爆発的な変化を遂げた。しかも技術は日進月歩で進化し、ユーザーニーズもどんどん動いている。ブロードバンドが普及すれば、ビジネスもまた変わっていくだろう。そう考えると、まだまだITの入り口にいるな、という感じがします。 |
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