●bit 別冊2001年4月「インターネット時代の文字コード」
小林龍生・安岡孝一・戸村哲・三上喜貴編 4500円
文字コード問題については、言語一般と同様、百人百様の見解が開陳される。この別冊では、可能な限り多くの立場の方からの文字コードについての見解をお寄せいただいた。多様な論点を相互に認めるところからしか、未来の方向性は見えてこない。
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「ことばと国家」
田中克彦著 岩波新書 700円
ことばに対して主体的であるためには、必然的に政治的な主体性を求められることを思い知らせてくれる一冊。
●「多言語主義とは何か」
三浦信孝・編、藤原書店 2800円
グローバリズムに対峙するマルチリンガリズムの立場から多様な論文が寄せられている。日本の言語環境の特殊性を知ることができる。
●「言語帝国主義とは何か」
三浦信孝、糟谷啓介編 藤原書店 3300円
前書の続編。
●「「国語」という思想」
イ・ヨンスク著 岩波書店 3090円
昨今の近代日本語史ブームの嚆矢となる本。この本が、日本語を母語としない女性の手で 書かれた意味は、決して小さくはない。
●死産される日本語・日本人
酒井直樹著 新曜社 2800円
著者は、米国の大学で思想史の教鞭をとる。日本語でも日本語を対象化したこれほど強靱な文章が書けるとは、大きな驚異であると同時に大きな喜びでもある。
●「オリエンタリズム」上・下
E.W.Said著 平凡社ライブラリー 各1600円
著者は、パレスチナ生まれで米国市民権を持ち、コロンビア大学で文芸批評を講 じる。西洋が、東洋を差異化することによって、自らの存立を獲得したという視点。ニューヨーク世界貿易センタービルの事件を経験した今、もう一度、我らが内なるオリエンタリズムを内省する必要はないか。
●「ディアスポラの知識人」
レイ・チョウ著 青土社 2800円
香港生まれの女性研究者。カルチュアル・スタディーズの若き旗手。彼女には、エドワード・サイードやステュアート・ホールにはない透明で強靱な楽天性が感
じられる。
●「書物としての聖書」
田川建三著 勁草書房 8000円
メディアとことばの問題を考える上でも、聖書にまさるケーススタディはない。聖書を書物として対象化して徹底的に論ずる著者の視点は、電子メディアを考える上でも多くの示唆に富んでいる。入門書とはかくあるべし、という見本でもある。
●「声の文化と文字の文化」
ウォルター・オング著 藤原書店
著者は、マーシャル・マクルーハンの盟友でありカトリックの司祭。オングの耳目に、現代の携帯電話(および携帯メール)文化は、どのように映るか。
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