「第5回 NTT Agile Meetup」で『スクラムチーム外の人もアジャイルを知ろう』を講演

2021/10/13

2021年09月15日(水)、「第5回 NTT Agile Meetup」において、エバンジェリスト(Agile)の伊山が登壇した。「NTT Agile Meetup」とは、NTTグループ社員向けの勉強会で、アジャイルの開発有識者から初心者まで一堂に会し、時には現場の現実も分かち合いながら議論・交流し、今後の開発やスキルアップに役立てる場である。
※本イベントは、新型コロナウイルス感染症の感染拡大状況をふまえ、オンラインで開催された。

『スクラムチーム外の人もアジャイルを知ろう』

真にアジャイルを成功させるにはどうしたらよいか?本セッションにおいて伊山は「スクラムチーム外の人」の関与・支援とそのマネジメントの重要性について語った。ここで「スクラムチーム外の人」とは、幹部やマネジメント層などの意思決定者、及び、総務・人事や財務など会社のルールを司る人たちをさす。
これらの人が、アジャイルに「はやい、うまい、やすい、夢のような手法」だと過度な期待を抱いたり、関与・支援が不十分になる場合があると指摘する。

今回扱うスクラムチーム外の人のイメージ

しかし実際にアジャイルとは、大きな失敗をしないために小さく試して軌道修正すること、即ち、変化に柔軟に対応するためのアプローチであり、ひとつの手段である。つまり、開発方法は案件の性質にあわせて選択すべきだと説明した。
具体的には、目的が適しているか、前提条件が揃っているか等、システム・ビジネス・プロジェクトの各視点でアジャイル適用の妥当性を評価して、正しく活用することが重要であると訴えた。チームのスキルを可視化するプラクティスであるスキルマップを活用し、不足するスキル領域を埋めるメンバーをアサインしたり、チームでの学習時間や支援体制を確保するなど、成功率を上げるための体制づくりに会社全体で継続して取り組むこともアジャイル成功のポイントとして挙げた。
セッションの最後に伊山は、アジャイルの鍵のひとつである“再計画”による軌道修正について言及。企画時点の計画や見積は変わるものと認識し、実績と状況に応じて繰り返し改善すること、つまり“再計画”で進めることがアジャイルの肝であるという。そしてこの”再計画”のためにはその瞬間の実績や状況を、リアルタイムな情報把握(見える化)で判断・評価するための正しい指標を持つことが必要だと説明。これを実践し“再計画”のアジリティを上げるためには、既存の会社の仕組みや予算の制度を変えることをいとわない、本気の幹部層のコミットと現場での改善が重要だと強調した。

アジャイルは決して銀の弾丸ではない。同時に、アジャイルを成功させる魔法もない。アジャイルで本当にやるべき事をやって成功できるように、「スクラムチーム外の人」とチームが対立するのではなく、アジャイルを知ってもらい、協力関係を築く。そして、現場や顧客を巻き込みながら共に歩む。この基本をマネジメント層などスクラムチーム外の人も理解し、現場を支援することへの提案が本講演であり、理解の上でのトップダウンも組み合わせて、スクラムチームを生かすために活用して欲しい、と示して講演を終えた。