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明日につながる基礎知識

第28回 知っているようで知らないこのワード 「MOOC」 むーく ムーク画像 イラスト

MOOC(ムーク)とは「Massive Open Online Courses(マッシブ・オープン・オンライン・コーセズ)」の略で、日本語に訳すと「大規模公開オンライン講座」となる。
インターネットにつながっていれば、誰でも有名大学や著名教授が提供する講義を無料で受けられ、条件を満たすと修了証が取得できる教育サービスだ。2012年より米国を中心に公開され、今や世界中から1,000万人以上が受講しているという。

MOOCにはプロバイダー型(ベンチャー企業)とコンソーシアム型(大学連携)があるが、前者としては2012年スタンフォード大学の教授らによって設立された「Coursera(コーセラ)」や、教授が個人で開講する点が特徴の「Udacity(ウダシティー)」が有名。
一方、後者のコンソーシアム型には、ハーバード大学とマサチューセッツ工科大学(MIT)が共同で設立した「edX(エデックス)」、英国の「FutureLearn(フューチャーラーン)」などがある。日本の大学は、Coursera に東京大学、edXに京都大学や東京大学、大阪大学が参加している。

ベンチャー企業や大学が巨額の投資を行い、無料で講座を公開するのはなぜか? 世界規模での教育の民主化といった理想はもちろん、埋もれている人材の発掘や大学の知名度・イメージの向上、学習データの収集、企業への優秀な人材紹介といったメリットが期待できるからだ。
人材発掘の例を挙げると、MITのオンライン講座を受講しテストで満点を取ったことで担当教授に見いだされ、17歳でMITに入学したモンゴル・ウランバートル出身の天才少年の例がある。

MOOCの講義の多くは英語で行われる。英語となると、私たち日本人にとってはいささかハードルが高い。だが、2013年には日本版MOOCの普及・拡大を目指し、産学連携で一般社団法人日本オープンオンライン教育推進協議会(JMOOC=ジェイムーク)が設立された。現在、JMOOC公認の配信プラットフォームには、株式会社NTTドコモとNTTナレッジ・スクウェア株式会社が提供する「gacco(ガッコ)」、株式会社ネットラーニングが提供する「OpenLearning, Japan(オープンラーニング・ジャパン)」、放送大学学園の提供による「OUJ MOOC(オーユージェイ・ムーク)」がある。
時間の制約があるビジネスパーソンにとって、居ながらにして大学の講義が無料で受けられるメリットは大きいのではないだろうか。

今月の「MOOC」なインフォメーション
gacco(ガッコ)
画像 gacco(ガッコ)

「gacco(ガッコ)」はJMOOC公認の配信プラットフォームの一つ。パソコン、スマートフォン、タブレットなどマルチディバイスに対応し、講義の音を消して字幕を表示する機能もサポートされているので、通勤途中や昼休みなど気軽に受講できる。掲示板で他の受講生とディスカッションをすることも可能。また、理解度を確認するためのクイズや、対面授業を組み合わせた反転学習※コース(有料)が用意されている講座もある。10月下旬より開講予定の講座としては「モチベーション・マネジメント」「化学生命工学が作る未来」「歴史都市京都の文化・景観・伝統工芸」「交流文学研究~東南アジアへの旅~」「統計学I:データ分析の基礎」など、多彩なラインナップ。

※自宅でオンライン教材を視聴した上で、教室では応用的な内容を学んだり議論して理解を深める学習方法。教室で授業を受け、復習や宿題を自宅で行うという従来の学習スタイルを“反転”させることで、学習効果を上げる。

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