DevOpsを実践し、根付かせることにDX実現のヒントがある?DXの推進とDevOpsの推進、この2つの課題の深い関係を徹底解説。さらに、サイロ型組織の弊害と機能横断型自律チームの役割や、 DevOpsを実践できる組織とその考え方も、これを読めば分かるだろう。

加藤稔 [かとうみのる]
エバンジェリスト(DevOps)

加藤稔

NTTコムウェア入社以来、仮想化、IaaS、PaaS、オブジェクトストレージ、コンテナ等のクラウド関連技術の研究や実用開発を経て、現在クラウドサービス企画およびDevOps関連サービス企画に従事。2018年8月「DevOps Agile Skills Associationアンバサダー」に就任。

デジタルトランスフォーメーション(DX)とは?

加藤:テクノロジーの進化で私たちを取り巻く環境は日々大きく変化しています。そのような中で、今、注目されるのが、「デジタルトランスフォーメーション」です。ところで「デジタルトランスフォーメーション」って何でしょう?

今、企業がさかんに取り組んでいる「DX」ですよね。それは何かと言われると・・・。

加藤:「デジタルトランスフォーメーション」を一言で説明するのは非常に難しいですね。

まず最初の「デジタルトランスフォーメーション」は、2004年にスウェーデンのストルターマン教授が提唱した概念で、次のようなものでした。

「ITの浸透が人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」

そこから12年後の2016年、IT系調査会社のIDCがIT市場の現況を踏まえ「デジタルトランスフォーメーション」に新たな定義を与えました。それがこちらです。

「企業が第3のプラットフォーム技術を利用して、新しい製品やサービス、新しいビジネスモデル、新しい関係を通じて価値を創出し、競争上の優位性を確立すること」

少し長いですが、核心となるのは「企業が第3のプラットフォーム技術を利用して…競争上の優位性を確立すること」ですね。

そして、競争上の優位性を確立するために、こういうことをしなければならないと示しているのが、「新しいビジネスモデル、新しい関係を通じて価値を創出」という部分です。

なんとなく分かるのですが、「第3のプラットフォーム」というのは何でしょうか?

加藤:第3のプラットフォームというのは「クラウド、ビッグデータ/アナリティクス、ソーシャル技術、モビリティー」といった、旧来のメインフレームやクライアント/サーバに変わる、現代のITインフラを指しています。

なるほど。確かにクラウドなんて2004年には無かったですね。

加藤:また、2019年に経済産業省で策定した「DX推進指標」では「デジタルトランスフォーメーション」を次のように定義しています。

「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」

これはさらに長いですね・・・。

加藤:そうですね。とても長いですが、核心はここですね。「企業が…データとデジタル技術を活用して…競争上の優位性を確立すること

そして、競争上の優位性を確立するために、こういうことをしなければならないと示しているのが、「ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革」という部分です。

ふたつの定義を比較してみると、違いはプラットフォームに言及しているか、言及していないかくらいで、大筋では「企業がデジタル技術を用いて競争上の優位性を確立する」という点で同じだといえます。現在の「DX」は、概ねIDCの定義を発展させたもの、そう考えて良いのではないかと思います。

DXが注目される理由
~デジタルディスラプター事例~

加藤:次に、どうして「デジタルトランスフォーメーション」がビジネスの重要なファクターになるのか、という話です。

その前に、ほぼ同じ時期に生まれた「デジタルディスラプション」という概念について説明します。

聞いたことはありますね。確か、創造のための破壊みたいな意味でしたよね。

加藤:そんな感じですね。

近年、デジタル技術を活用することで、既存ビジネスの枠組みを根底から覆してしまう事業者が世界中に現れるようになりました。例えば、よく取り上げられるのがUberやAirbnbなどのユニコーンと呼ばれる企業です。

どちらも有名な企業ですよね。

加藤:Uberは、車を運転することで報酬を得たいマイカーオーナーと、タクシーよりも安く移動したい利用者を結び付けて手数料を得る、いわゆるマッチング手法で大きくなりました。

タクシーの接客や料金などに不満を持っている客がこぞってUberに移ったとか。

加藤:しかも対抗しようにも職員や車の数に限りがあるタクシー会社では、Uberの手法にまったく太刀打ちできませんでした。

Airbnbも同様です。空き物件を少しでも稼働させたい不動産オーナーと、旅先で格安の部屋に宿泊したい利用者を結び付ける手法で大きくなりました。利用者は世界中からやってきますから、不動産業者に頼まなくてもオーナーは物件を稼働できます。

ホテルが取れない地域でも宿泊できて便利ですよね。

加藤:そう、その代わりに長年安定していた地域のホテル業界バランスを、いとも簡単に破壊してしまったのです。

これらユニコーン企業は、店舗も在庫も持たず、仕入れも販売もしません。ネットワークを通して需要と供給を結び付ける、それだけで利益を生み続けることができます。

このようにデジタル技術を武器にした新規参入によって、既存ビジネスが破壊的なインパクトを受けることを「デジタルディスラプション」と呼んでいます。

既存業界がなんとか現状を維持しようとしても、「デジタルディスラプション」を避けられないということは、既に現実の問題なのです。

では、既存企業はどうしたら良いのでしょうか?ひとつは法規制によって業界を守ってもらうことです。実際にUberのような登録事業者以外の賃走は、日本では白タクとして規制されています。

でも、自由競争を制限する法規制は、緩和されることはあっても強化されることはほとんどないですよね。

加藤:そうですね。だから、いずれ緩和される時にディスラプションに直面することになるのです。

そこでもうひとつ有効な方法があります。極論を言えば、ディスラプションされる前に、企業自身がディスラプターになってしまえば良いのです。

それはまた乱暴な言い方ですね。

加藤:乱暴に聞こえるかもしれませんが、実はこれこそが「デジタルトランスフォーメーション」なのです。

どういうことでしょうか?

加藤:つまり、デジタルトランスフォーメーションは、「ディスラプターに対する防御から始まって、自身がディスラプターになるまでの一連の道程である」と言い換えることができるのです。DXはこういう側面も持っているといえます。

なるほど、奥深いですね。

真のDXとは?
~既存ビジネスの枠組みを超える~

加藤:さて、DXではITが重要な役割を担います。デジタル技術を利用するのが前提ですから、これは言うまでもありませんね。
それでは、ただ単にAI、IoT、ロボット技術や3Dプリンティングなどを取り入れた商品やサービスを売り出せば良いのでしょうか?

それができる技術力を付ける、そういうことだと思いますが、違いますか?

加藤:ええ、実はそうではないのですね。

先のユニコーンたちの着眼点やアイデアには目を見張るものがありますが、それだけで成功した訳ではないのです。彼らはITを用いることを前提にしたセグメンテーション、ターゲティング、ポジショニングをきちんと考えて、大企業にはできない新たなビジネスモデルを作ったのです。

アイデアが当たっただけではないと?

加藤:もちろんアイデアは秀逸なのですが、彼らは極端に経営資源が少ない環境下で、人と物を使わずに、顧客価値が最も高くなるビジネスモデルを考えたのです。

そして、自分達のビジネス、ホスト側のビジネス、ゲスト側のビジネス、つまりビジネス構造の全てを、データとデジタル技術で構築したのです。

これはIDCが言うところの「新しいビジネスモデル、新しい関係を通じて価値を創出」していると同時に、経済産業省が言うところの「データとデジタル技術を活用して…競争上の優位性を確立」しているということ他ならないのです。

なるほど、確かにそうですね。

加藤:日本企業の多くが技術的先進性を備えることが即ちDXだと勘違いしています。いかに最先端のデジタル技術を用いようとも、既存ビジネスの枠組みで考えた商品やサービスは、旧態依然とした事業ライフサイクルの一部に過ぎないのです。

それはどういうことですか?

加藤:例えば、ここ10 年で市場のニーズは大きく変わりました。若いみなさんはその10年しか知らないかもしれませんが、さらにその前の10年を知る、私たちのような世代は違いがよく分かると思います。

最も顕著な例は商品認知と購買行動です。

商品をどうやって知るか、と、買うまでの行動のことですね。

加藤:そうです。ここ10年で、欲しい商品やサービスの情報を得る手段がTV、情報誌や店頭から、SNSに変化しました。そして購買行動も実店舗からECへと移り変わっていきました。

確かに、SNSの投稿やフィードで気になるものを見つけることは多いですし、郊外の大型店舗などは土日でもガラガラだったりしますよね。

加藤:実店舗は市場支配力の強いメーカーのコモディティで埋め尽くされていますが、ITがもたらす情報を駆使することによって、消費者にとって本当に良いものを、安く、早く、自宅で手に入れることができるようになりました。

でも、これは従来のフィジカルビジネスの話であって、デジタルビジネスの話ではないですよね?

加藤:もちろん、物理的なプロダクトがこの世から無くなることはありません。いかにデジタル化を進めても、衣食住がデジタルデータに置き換わることはありません。

しかし、人の商品認知と購買行動を支配するのは「情報」なのです。これを顧客や事業の求めに応じて効率的に扱う手段がITであり、データとデジタル技術なのです。

そこには手を付けないで、やれAIだIoTだと商品の先進性をアピールするだけでは、まったくトランスフォーメーションしていないということなのですね。

加藤:そういうことです。

DXの実現を阻むモノ
~サイロ型組織~

加藤:ITの進展に伴い、顧客は自分にとっての価値を、必要な時に必要なだけ、しかも迅速に手に入れたいと考えています。そして、顧客が求める価値は、さまざまな体験を経て常に変化していきます。

良い商品だと思っても、クチコミなんかを見ると買う気がなくなるものも多いですよね。

加藤:そうですね。ですから、短い時間で変化する顧客価値に対応することができない企業は市場で負けてしまうのです。

そこで、変化に対応して、常に顧客の求める価値を提供するためには「アジリティ」が重要だと企業は考えるようになりました。

スピードではなくて「アジリティ」ですか?

加藤:そうです、「アジリティ」です。

アジリティの高いITビジネス、特にスタートアップでは、多大な投資や人海戦術で最終形態のサービスを一度にリリースするのではなく、顧客の求める価値を優先して俊敏に市場へ投入していく、という考え方をするようになりました。このような考え方や実現メソッドを、アジャイルアプローチとかアジャイル型開発と呼びます。

そして、このアジャイルアプローチで成功したスタートアップを参照して、大企業でもDX達成のためにこれを実践すべきだ、という機運が高まってきました。しかし、話はそう単純ではありませんでした。

どうしてでしょうか?

加藤:大企業ではこれまで、社内のあらゆる構造が既存ビジネスに最適化されてきました。その中でも特に問題になるのが、インダストリーやセグメント毎に分かれた事業組織、専門能力毎に細分化された機能組織、俗に言うサイロ型組織の弊害です。

「サイロが悪い」って言葉はビジネスパーソンからよく聞きますね。

加藤:そう、それでも、これまでのビジネスではこのサイロが十分に機能していたのです。

長い時間をかけてビジネス課題を解決してきた組織形態ですから当然と言えば当然ですよね。

加藤:では、このサイロ型組織でアジャイルアプローチを取り入れるとどのような問題が起きるでしょう。

典型的な例は、開発と運用の壁です。開発部門が顧客体験をどんなに速く価値に変換しても、運用部門はそれを受け入れられるプロセスになっていないのです。

開発部門と運用部門は、これまで価値の流れの上流と下流にあり、リリースを境に全く異なる仕事をしてきました。CSF(重要成功要因)もKPI(重要業績評価指標)も全く違うので、部門トップの考え方もこれまた違うのです。

確かに互いにゴールが違いますよね。

DX課題解決に不可欠な「DevOps」

加藤:これでは俊敏に顧客価値を提供し続けることができないので、登場したのが「DevOps」という概念です。初出は割と古く、2009年でしたが、企業がその言葉に耳を傾けるようになったのは、やはりDXと時同じく2016年くらいからです。

確かにDevOpsという言葉をよく聞くようになったのはそれくらいの頃ですね。

加藤:そうですね。これはDXがその達成プロセスにDevOpsを必要としたからなのです。

DevOpsは当初「開発と運用が協力して市場の変化に対応していこう」というスローガンのもと、サービスやプロダクト開発のプロセス省力化や自動化、組織をまたいだコラボレーションなどに重点が置かれました。しかし、たったこれだけでも大企業では上手くいきませんでした。

どうしてですか?

加藤:表面上はDevOpsに見えても、社内のルールやメンバーのマインドセットはサイロのままなのです。

それだと何がダメなのですか?

加藤:簡単に言うと、重要な時に縄張り意識が顕在化して前に進まなくなるのです。結局は市場ニーズや顧客の価値など見てはおらず、誰かに言われて形だけ整えているので、自組織の利益が一番重要になってしまうのです。

それは深刻な問題ですね。

加藤:そこで、昨今のDevOpsは、組織、企業文化、カスタマセントリックな風土やマインドセットの方が、テクノロジー課題よりも重要であると認識されるようになりました。

これは経済産業省の言う「業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革する」というDX達成課題と見事に合致しています。

本当ですね。DevOpsの課題がDXの課題に通じているんですね。

DepOpsについてシステム管理者向けイベントで講演する加藤エバンジェリスト

DevOps実践方法
~DASA提唱6つの原則~

加藤:現代のDevOpsを簡単に言えば「価値創出と価値提供のアジリティを極限まで高め、市場での優位性を確立する、そのために必要な、組織、文化、人材、技術を包含するフレームワーク」だと言えます。

もう開発と運用がどうのという時期ではないのですね。

加藤:そうですね、時代は移ったと言って良いでしょう。

そして、具体的にこのDevOpsをどう実践すれば良いのか、ということですが、世界で唯一と言っても良い、DevOpsのフレームワークをオープンに議論しているコミュニティ、DASA (DevOps Agile Skills Association)の論点をご紹介します。DASAではDevOpsの実践方針を6つの原則にまとめています。

第一の原則「顧客中心の行動」

これは勇気を持って行動することで、顧客と自分の関係や提供する価値に革新をもたらすということを言ってるんですね。

日本ではお客様は神様と言いますけども、少しそれとは違うんですね。

加藤:ええ、ちょっと違いますね。仕事の完了をめざすのではなく、顧客の声を聴いて価値を選択し、時としてピボットする、そういった勇気を持つということですね。

第二の原則「価値だけに焦点を当て考える」

続いて、こちらはどういうことでしょうか?

加藤:これは、最終的に提供される価値だけを見据えてプロダクト・サービスを創るということ。価値に寄与しないことに意味はないし、そのようにエンジニアのマインドセットも変える必要がある、と言っているのです。

すべては価値に収束するということですね。

第三の原則「エンドツーエンドの責任」

製品やサービスのライフサイクル全体を通して、単一のDevOpsチームがその所有権とすべての説明責任を併せ持つ、そんな組織構造を作るということです。

続けて行きますが、

第四の原則「機能横断型の自律チーム」

これは組織や人の持つコンピテンスをチーム型に変えていくということです。縦割り組織で区切られた機能ベースのコンピテンスを、チームベースのコンピテンスに変えるということ。
チームメンバー全員が備えるべきスキルと、チーム全体で隙間なくカバーすべきナレッジをそれぞれ規定し、チームのアセスメントを定期的に行うこと。これは、I型人材をT型人材に変えていくという示唆でもあります。

エンドツーエンドの責任を果たすチームは、機能横断型の自律チームということなのですか?

加藤:そうです、よく関連をつかんでくれましたね。

第五の原則「継続的改善」

継続的に提供する価値を改善すること。実験は失敗から学ぶ重要な活動であり、そのための機会、時間、投資、心理的安全性の確保を企業は軽視してはならないということです。

失敗への投資というのは日本ではなかなか難しいですが、そこを軽視してはダメということですね。

加藤:そういうことです。そして最後に、

第六の原則「可能な限りの自動化」

言うまでもなく、アジリティの強化手段であり、他の五つの原則をテクノロジーで支援するものですね。

このように、まとめてみると簡単に思えますが、実際に組織構造や人の考えを変えるというのは容易なことではありませんよね。

加藤:そうですね。ですが、DevOpsを実践し、根付かせるということは、これ即ちDX推進の課題を解決することになるのです。

日本において最初にDASA Ambassadorに任命されている加藤エバンジェリスト

DX成功のために
~経営トップがすべきこと~

なぜDevOpsを実践できると、DXの課題を解決することになるのですか?

加藤:では、前出の経済産業省「DX推進指標とそのガイダンス」の解説を少し見てみましょう。

たとえば「ビジョンの共有」というセクションにおいて、PoCからビジネスにつながらない原因の一つとして、こんなことを言っていますね。

「ユーザエクスペリエンスにおいてどのような価値を生み出すか、Whatが語られておらず、ともすると、”AIを使ってやれ”の号令で、Howから入ってしまっている」

あー、これはITあるあるですねー。

加藤:また、こんな記述もありますよ。

「DXが目指しているものは、業務改善・効率化のみにとどまらず、”顧客視点で新たなビジネス価値を作り出す”こと」

どちらも顧客の価値を軽視しては意味がないということなのですね。

加藤:その通りですね。次に「危機感とビジョン実現の必要性の共有」では、こんなことが書かれています。

「なぜDXをするのか、変革しないと何がおこるかについて、具体的な危機感がリアリティを持って経営層にも現場にも腹落ちされていることが必要である」

これは先ほどのユニコーンの例を知れば他人事ではないと思いますが、まだ脅威の可能性が浸透していないのですね。

加藤:なかなか、身近に脅威が迫らないと、人間動かないものなのですね。

次に「経営トップのコミットメント」。DXでビジネスモデル、業務プロセスや企業文化を変革するためにはどうすれば良いか。

「内外に号令をかけるだけでは、経営トップがコミットメントを示したことにはならない」

「変革を実行し、根付かせるための経営としての”仕組み”を明確化して定着させる必要がある」

DXの推進はトップダウンが大事だと言われますが、ただ上意下達するだけではダメだということですかね。

加藤:そうですね。社員一人一人が自律的に変革に向けて動けるような仕組みを構築しないといけませんね。

「マインドセット、企業文化」にはこんなことも書いてあります。

「DXによって創出される価値は、必ずしも事前に想定できるとは限らないため、挑戦すること、失敗から学ぶことが重要」

「日本企業がDXを推進する上での課題の一つがチェンジマネジメントである」

これは先ほどの失敗への投資の話と同じですね。

加藤:最後に「推進体制」のセクション。

「DXを推進する体制は、サイロを超えて取り組む必要があり、社長直轄でDX推進の部署を設置することが望ましい」

これはエンドツーエンドの責任と機能横断型自律チームに通じますね。

加藤:どうでしょう?どれもDASAのDevOps6つの原則と似ていますよね。
錚々たる日本のビジネスパーソンが集まって議論したDX課題と、グローバルのDASAが定義した原則が似通うということは、世界各国の課題感も実は日本とあまり変わらないということなのです。

なるほど、日本はすごく遅れているという印象がありましたが、そうでもないのですね。

加藤:ええ。海外のイノベーションがよく報道されるため、そう感じてしまいますが、DXは日本だけが特に遅れているという訳ではありません。
しかし、それでもDXをやらないという選択は無いのです。

DXそしてそのプロセスを支えるDevOpsを実践し達成するためには、経営トップが自らビジョンを示し、コミットメントし、全社がアグリメントする。そしてこのアグリメントと実践を維持できる仕組み作りこそが最も重要なのです。

ありがとうございました。

参考:経済産業省 デジタル経営改革のための評価指標(「DX推進指標」)