ナビゲーションを読み飛ばすにはここでエンターキーを押してください。
COMZINE BACK NUMBER

世界IT事情

第7回 韓国、ソウル発 「生活を支える国民番号はITなくして語れず」

道具は同じでも、使う人が違えば、その反応も違うもの。「世界IT事情」では、世界各国のお国柄をご紹介しつつ、人々のITとの関わり方を、生活者の視点でご紹介していきます。 今月は、、IT先進国と名高いお隣の国韓国から、レポートです。

「生活を支える国民番号はITなくして語れず」
生活全般のサービスを円滑

韓国はアジア諸国の中でも有数のIT大国だと国内外でいわれている。普段の生活の中でもITインフラの整備による恩恵は多く、ここ5、6年で社会が急速に便利になったと実感する事も多い。 
韓国のIT事情を語る上で欠かせないものに、住民登録証というものがある。これは、全国民に13桁の番号を割り振り、いろいろな情報を一括して管理するいわゆる国民総番号制を利用した身分証明書だ。韓国民はすべて、この住民登録番号と名前、現住所(新型は名前と生年月日と性別のみ)が書かれたテレホンカード大の顔写真付きプラスチックカードを持っていて、常に携帯していなくてはならない。

「国民サイバー民願室」と呼ばれ、住民票等の各種証明書や不動産登記本なども発行される、まさしく名前のとおり国民の願いを叶えてくれる頼もしい機械。

住民登録証に記載される登録番号は、医療保険、国民年金、住民登録謄本(日本の住民票に相当する)、戸籍謄本および抄本、軍隊への徴兵通知・連絡、運転免許証、自動車所有者登録などすべての行政サービスを利用する際に必要なだけでなく、学校では学生の出欠や成績、履修科目などに始まり卒業証書などの発行にも使われるし、銀行での本人確認などもすべて、この住民登録番号をもとに行われる。もちろん身分証明書でもあるので、飲食店では年齢確認のために提示を求められることもある。登録の必要なサイトを利用する時にも、さまざまなネット犯罪回避のためにこの住民登録番号を入力しなくてはならないことがある。韓流ブームで、韓国のサイトを利用したいという日本人が増えているのだが、利用できないと嘆く声もよく耳にする。「これ一枚で何でもできる」が、「これがなければ何もできなくなる」のが住民登録証なのである。某クレジットカードの有名なCMキャッチフレーズではないが、まさに「出かけるときは忘れずに」なのである。

学生生活にも欠かせないITと住民登録番号

この住民登録番号は、すべての行政サービスでも使われている。住民票の発行や、出生・死亡届など生活に密着した行政サービスはたいてい日本で言えば区役所の出張所にあたる洞事務所で処理される。だが、日本も事情は同じだろうが、共働きをする人が多い今の時代、平日の日中に洞事務所へ行くのはなかなか難しい。そこで便利に活用されているのが、地下鉄の駅やターミナル、ショッピングモールなどにある、自動販売機のような機械。兵役証明書、住民登録証の発行、住民登録に加え、日本では陸運事務局でしか発行できないような自動車の登録原本や不動産の登記簿謄本の書類発行までもこの機械ででき、手数料はクレジット決済という、忙しい現代人には大変ありがたいシステムだ。

CARDキャプ

韓国国民として必ず携帯しなくていけない「住民登録証」。個人情報のすべてがインプットされているので、韓国では住民登録証のおかげで拾った財布をポストに入れると落とし主の元に戻ってくるという都市伝説があり、日本のバラエティー番組で検証され話題になったことがある。

学校生活でもまた、この住民登録番号が活用されている。韓国国内のほとんどの高校や大学ではホームページが整備され、直接、学校に行かなくても在籍確認や成績証明・卒業証明を取り寄せるなど、ネット上でさまざまな手続きを行うことができる。手数料は、クレジットカードまたは携帯電話に加算しての決済もできるとあって、学生に好評だ。日本に先駆け、すでに受験シーズンに入っている韓国では、受験した学校のホームページにアクセスし受験番号と国民番号の入力で合否の確認する学校も多い。日本の受験シーズンといえば、合格発表の掲示板の前で胴上げをする、ちょっとアナログなシーンが、この時季のニュースの風物詩。その光景になじんでいる日本人からしてみれば何だか味気ない気がしないでもないが…。

特派員プロフィール

山崎裕子(やまざき・ゆうこ)
韓国専門企画者・ライター・韓国旅行アドバイザー。95年より韓国に関わり、以後、韓国だけを専門にさまざまな活動を行う。近著に、東京都内180店舗の韓国料理店を網羅した『東京 本気の韓国料理店』(実業之日本社・共著)がある。

Top of the page

月刊誌スタイルで楽しめる『COMZINE』は、暮らしを支える身近なITや、人生を豊かにするヒントが詰まっています。

Copyright © NTT COMWARE CORPORATION 2003-2015

[サイトご利用条件]  [NTTコムウェアのサイトへ]