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世界IT事情 ITを通じて世界の文化を見てみよう!第67回 ネパール、カトマンズ発

ヒマラヤ山脈に沿って細長く、北は7,000m級の山々が連なるヒマラヤから南のタライ平原まで、世界でも類を見ない高低差があるネパール。その中ほどに位置する世界遺産に登録されたカトマンズ盆地一帯は、美しい彫刻に飾られた数々の歴史的建築群と、宗教色豊かな文化を今に伝える魅力あふれる観光地。タイムトリップしたかのようなどこかレトロな街なかをケータイ片手に人々が歩く姿は、昔と今が混在した不思議な光景だ。

携帯が変えた?!ノンビリ気質

画像 公衆電話

雑貨屋の前に、普通の固定電話を設置して「公衆電話」。今では利用する人も減っている。

時間を気にするようになったカトマンズの人

何事につけてゆっくりのネパールの人たち。家庭用の電話や公衆電話がまだ普及していなかった頃、待ち合わせの時間に遅れるのは当たり前で、会社に遅刻するのもそれほどのおとがめはなし。役所などでは業務時刻に訪れても、開いてはいるが担当者がまだ来ていないなんていうことはよくある話で、待ちぼうけをくらうこともしばしば。待たす方も一向に悪気がなく腹を立てていてはこちらの損。当時は連絡しようにも連絡手段がなく、待つことにも待たされることにも皆慣れっこになっていたのだ。
10年ほど前までは、家に電話を引こうとしても工事は申し込んでから数ヶ月後というのが普通で、費用も高額だったので、近所のお店にある電話がいわゆる公衆電話のようなものだった。ところがここ4〜5年ほどで安価な携帯電話が登場するや、あれよあれよという間にネパールの隅々まで普及してしまった。ヒマラヤの奥地で生活する人も、外出中でも携帯電話のお陰でいつでもどこでも連絡が取れるようになった。約束の時間に遅れては電話がかかってくるのが当たり前。電話のお陰で時間や約束を守るようになってきたかというと、以前に比べると多少は良くなったかな?という程度ではあるが、時間を気にするようになってきたことは確かだろう。

画像 リチャージ・カードが買える小さな店

古い街並みの狭い路地裏の、どんな小さな店でもリチャージ・カードが買える。雑貨屋においてあることもあるし、携帯電話グッズのお店にも当然置いてある。

スマートに使いこなそう「ワン切り」

固定電話もポケベルも通り越して携帯電話を持ち、使いこなすようになったネパールの人たちだが、携帯電話でインターネットを利用するには料金が高いこともありもう少し時間がかかりそう。そこでお金もかからず手軽に連絡できるミス・コールと呼ばれるいわゆる「ワン切り」が大流行だ。
日本でのワン切りは、相手に対する嫌がらせであったり身に覚えのない高額な請求がきたりと悪質なイメージだが、ここネパールでは重要なコミュニケーションの手段となっている。
仲の良い友達同士では通話料金を少しでも安くしようと、呼び出し音の回数によって「元気?」「おやすみ」といった意味のメッセージが込められていたり、恋人同士であればミス・コールやSMSによって、お互いの想いを確認するのだそう。またミス・コールは、連絡したい相手に電話をかけてきてほしい時に、着信履歴を残しておき「折り返し電話してください」というメッセージでもある。同じ人から何度もミス・コールが入っていることもよくあり、そんなに話がしたいならその場で話をすればよいと思うのだが、少しでも通話料金のかからない方法で話がしたいのだ。そういった事情から、逆に「ミス・コールちょうだいね。私の方からかけなおすから」といった具合で自らミス・コールを要求し、相手に通話料金がかからないように気遣うのがスマートなマナーとも見なされるようになってきた。ところ変われば、何とやら。カトマンズと日本では、同じ「ワン切り=ミス・コール」も随分意味が違うのである。

特派員プロフィール

秡川圭代(はらいかわ・かよ)
二十歳で日本を出、世界を回るつもりが気がついたらカトマンズに沈没?!オールドバザールを中心とした路上観察を趣味とする、ワーキングマザー。その日常と街の風景を、ブログ「〜うわのそら〜ネパールはカトマンズhttp://uwanosora-ktm.blogspot.com/」にて発信中!

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