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第42回 アメリカ、ロサンゼルス発

「タッチスクリーンテーブルの導入でハイテクバーの登場」

コンビニバーとデスティネーションバーの融合

ハラス関連ホテルで開催されるミュージカルなど、イベント情報をチェックする顧客たち。
Rio All-Suite Hotel & Casino

インターネットの普及で登場した飲食店としてはネットカフェが思い浮かぶ。アメリカでは昨今、ネットカフェがおしゃれに進化したレストランやバーが登場し始めた。中でも先端を行くのが、ロサンゼルスから約500km、Sin City(罪な街)の異名を持つラスベガスのハイテクバー「i-Bar(アイバー)」だ。
ブラジルのリオ・デ・ジャネイロ南部にある町、イパネマにちなんで命名されたバーは、収容人数100名。Rio All-Suite Hotel & Casino(リオ・オールスイート・ホテル&カジノ)内にあるメインカジノの中央に位置し、地球、岩、水などナチュラルな素材とライトをふんだんに使って、アップスケールなラウンジの雰囲気を醸し出す。店内には奇抜な衣装に身を包んだI-Girlが練り歩き、ダンスをしたり、カクテルを運んだりするのも一見の価値あり。
そんなバーだから、ロサンゼルスタイムズ紙やザガット誌など、各メディアでも取り上げられ話題になっている。
「巨大なiPhoneみたいね」「バーにある大画面テレビとテーブル席のコンピューターを連動させてゲームができるのよ!」「ラスベガスの街をバーチャルに見られるツアーができて、楽しいわ」など、顧客の評判も上々だ。
同店の広報担当者のブランディ・ベルさんは「のどが渇いた時、ふらっと立ち寄って渇きを満たせるコンビニのようなバー。そしてテーマ性や雰囲気があり、おしゃれな夜を過ごすために出かけるデスティネーションバー。最近のバーは、この2つのコンセプトのどちらかが軸になっていますが、この2つを一緒にしたのがi-Barです」。

婚活要素も兼用するインスタントメッセージ

マイクロソフト・サーフェイス導入のタッチスクリーン・テーブルで一番人気のボーリングを楽しむ顧客たち。
Rio All-Suite Hotel & Casino

それでは、このi-Barのハイテクぶりを見てみよう。同店では、クラブのアクセサリーで究極のナイトライフのシンボルになるテーブルに、30インチのタッチスクリーンテーブル「マイクロソフト・サーフェイス」が取りつけられ、さまざまなプログラムやゲームがインストールされている。このタッチスクリーンテーブルを使って、ヒップで新しいエンタメが楽しめるという構想を実現したわけだが、一体、どんなことができるのだろうか。
「ウェイトレスがなかなかオーダーを取ってくれない」。そんなフラストレーションを見事に解消してくれるのが、タッチスクリーンテーブルを使って席に座ったままカクテルがオーダーできるシステム。同店一番人気の「darkness(ダークネス)」など7種類のカクテルから好きなカクテルが選べる。もし、気になる人がいたら「あのテーブル席の女性にマティーニをプレゼントして」など、粋な計らいをテーブル席から依頼することも可能だ。
また、最新動画や流行の動画をYouTubeでチェックできるから、友だちと一緒に映画感覚で楽しめる。実際に歩かなくてもラスベガスの街をバーチャルに"歩く"体験ができる要素もあり、行きたい場所を先にチェックできるのも魅力的。同バーの親会社、ハラス関連については、ラスベガス内のホテルで開催中のミュージカルやショーなど最新イベント情報もチェックできる。
また、一番人気のボーリングを含む7種類のゲームができるので、テーブル席全員で遊んだり、隣のテーブル席の人たちを巻き込んで楽しむことだってできる。 
極めつけは、バー内のテーブル席に座っている人にインスタントメッセージを送って、"おしゃべり"ができることだ。「直接話しかけるのはちょっと抵抗がある」「あそこに座ってる人と話したい!」など、これまでなら少し勇気が必要だったり、あきらめていた行動でも、簡単にかなえてくれるのだ。その場で写真を撮ってテーブル席間で交換することも可能。
「これは次世代型のインターネットデートですね。他人のプロフィールを見る代わりに、近過ぎない距離から実際に顔を見ながらコミュニケーションができます」と、ロサンゼルスタイムズ誌に答えるのは、広報副部長のマイケル・ウェーバーさん。「どこに住んでるの?」「週末は何をして過ごしてるの?」。こんなことも気軽に"聞ける"から、これは婚活の一環になるだろう。
 「今後も、更にエンターテインメントとテクノロジーの最先端を導入したいと思っています」と語るベルさん。
人と人とをつなげる架け橋となっているハイテク。今後は、バーやレストラン業界でどのような展開が見られるのか気になるところだ。

特派員プロフィール

大山真理(おおやま・まり)
ロサンゼルス在住。東京FM、FM802などでラジオレポートを行う。『夕刊フジ』、『朝日新聞(ウェブ)』、『日経トレンディ』、『日経ヘルス』など各種媒体に健康、流行、旅行、インタビュー記事などを執筆。『30都市徹底ガイド(ロサンゼルス担当)』(JTBパブリッシング刊)、訳書に『「もう頭にきた」と思ったときに読む本』など。テレビ番組の取材コーディネート、通訳にも携わる。

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