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世界IT事情 ITを通じて世界の文化を見てみよう!第51回 インド、デリー発

5000年の歴史をもつインドは昨今、急激な経済成長を遂げている。日本の国土の9倍の大きさに12億の国民が多様な宗教、言語や文化とともにひしめきあっている。中でもデリーは新旧が目まぐるしく交差する都市。地下鉄も開通して便利だと思えば、車道には牛が寝そべっている、五感を刺激されるデリーは毎日が驚きと発見だ。

日本人にはスリリングな郵便。現地の人にはノープロブレム!

赤いポスト

インドも日本と同じ赤いポスト。一昔前の日本のものとフォルムが似ていて、どことなく懐かしい。

郵便料金も係の裁量次第?!

近所に立派な真っ赤なポストがあるのだが、デリー市内には郵便局がどこにでもあるわけではない。とても不便だ。私が現在住んでいる所からは徒歩20分の距離に郵便局があるとお隣さんが教えてくれたが、炎天下(4月ですでに気温は50度に上がる)、そんな遠いところまでは行かれない。幸い車で中心部へ出る機会が多いので、外国人客が多く利用するホテルのカウンターでインドの絵はがきを出すことにした。ところが、5つ星ホテルなのに、郵便料金の値段が人によってマチマチなのには驚く。
ガイドブックによると、確かはがきは日本を含め、国外へはどこも一律12ルピー。日本円で24円足らずだ。日本なら国内でも50円だから、安くてうれしくなってしまう。ところが、ホテルでは15ルピーと言われた。思わず持っていたガイドブックを見せると、古い情報だから間違っていると言う。そうかとしっかり書き留めておいた。「はがき→15ルピー、封書→25ルピー」と。
次の機会に、違う高級ホテルでやはり絵はがきを出した。そこでは10ルピーと言われた。耳を疑って「あのう、値上がりして、確か12ルピーから15ルピーになったのではないんでしょうか?先週そう聞いたのですが…」と言うと、答えは「ノープロブレム。ずっとその値段でした。ここは日本の方が多く泊まるホテルですから信用してください」。そう断言されては従うしかない。要は郵便料金、切手代金なんて、決まっていないに等しいのだ。

インドの郵便局

建物はかなり立派。近所の郵便局は比較的空いているのだが…それでも待ち時間は覚悟したほうがいい。

間に合わなかった夏物ブラウス

お次はウィーンの友達にボリウッド映画(インド、ムンバイで制作される映画)記事満載の雑誌を数冊とインド綿の素敵な夏用ブラウスをA4の封筒に入れて郵便局で送ることになった。襟と袖口に小さなビーズがほどよく散りばめられた、なかなかお洒落なブラウスだ。きっと喜んでくれるだろうなぁとワクワクしながら列に並ぶ。ホテルのカウンターで、というわけにはいかず、郵便局に出向いたのだった。そこは中央郵便局でさすがに大きい。
ところがである。郵便貯金を始め、支払い関係も郵便も、同じカウンターで作業をしているので、遅々として列が進まない。イライラすること1時間。たった数冊の雑誌を入れた2kgに満たない封書を送るのにこれだけ時間がかかってしまった。行った時間も悪かった。ちょうどオフィスの昼休み。きっと一番混雑する時間帯だったのだろう。
しかも、航空便で出しても日本や欧州まで、2週間はかかる。これには閉口する。誕生日のカード、母の日、父の日などいわゆる「記念日」には最低半月以上前から用意していないと到着しないのだ。ウィーンに出したはずの郵便物も、絵はがきよりは重かったせいか(?)、3週間以上かかって到着したらしい。せっかく送った夏物のブラウスは、7月というのに一気に13度になっているウィーンでは寒くて着られず、友人は「ありがとう。でも急に寒くなってしまって…来年の夏までとっておく」と言っていた。さすが、郵便料金がアバウトだけに日数もかかるんだ。まあ、これだけ安い値段で送れるのであるから、少しの不便さは我慢しなくちゃね、と自分を納得させたのだった。

特派員プロフィール

パッハー眞理(ぱっはー・まり)
ウィーン生まれ、東京育ち。35年にわたる欧州生活から今春インドのニューデリーに移住してホットなインド記事を発信中。共著に『アウガルテン宮殿への道』(ショパン)『ニッポンの評判』(新潮新書)、『インディ泥んこウィーン生活』(文芸社)がある。インド外国人特派員クラブ会員。

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