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世界IT事情 ITを通じて世界の文化を見てみよう!第54回 アメリカ、ノースブルック発

日本の約25倍、およそ930万平方kmの広大な国土を持つアメリカ。人口は約3億1200万人。シカゴから約32km離れたイリノイ州のノースブルックは、人口3万4407人、約33平方kmの小さな村。シカゴ近郊という土地柄から500社以上もの企業が集まり、製品規格の策定に関わる「Underwriters Laboratories, Inc.」、ホーム&インテリア関連の「Crate & Barrel」など、世界的に知られる企業の本部も設置されている。

遊び心あるアメリカ人の芝刈り機レース

芝刈り機レースの様子

2011年8月29日にペンシルバニア州グリーンズバーグ市で開催された「ウェストモアランド・フェア」でのレースのひとこま。

何でも遊びのタネにする!アメリカ人の才能

アメリカにはカーレースやバイクレースなど、さまざまなレースがあるのはよく知られているが、芝刈り機を使ったレースまで開催されるのをご存じだろうか。同レースがストーリーの主要な位置を占めた映画『プリティ・ガール』をご覧になった方なら、雰囲気はつかんでいただけるだろう。
同レースはニューヨークタイムス紙やABCなど主要テレビでも話題になり、画像投稿サイトのFlickr(フリッカー)にはレースの写真が多数アップロードされ、動画共有サイトYouTubeに投稿された芝刈り機レースの動画は、アクセスを増やし続けている。
「賞金を獲得するためのレースと違って、フレンドリーな雰囲気で行われる芝刈り機レースは楽しいですよ」と語るのは、全米芝刈り機レース協会の会長、ブルース・カーフマンさんだ。
芝刈り機を使ったレースが初めて開催されたのは1963年のこと。当時は地域別のレースだったが、そこからアイデアを得たガソリン劣化防止剤(STA-BIL Fuel Stabilizer)の製造会社「ゴールドイーグル」が、販促目的で全米シリーズのレースを1992年に開催し、同年に全米芝刈り機レース協会も設立した。
現在では、600人以上のメンバーを抱える非営利団体の地方支部や関連クラブが160チーム以上もあり、年間150回以上の芝刈り機レースが開催される。

レース看板

レースは、10分の1マイルの距離を競い、優勝者は、1周につき14〜18秒、時速20〜35マイル程度で走るという。

老若男女が参加。広がるレース仲間の輪

また、毎年レーバーデー(労働の日)にあたる9月の第一月曜にかかる週末には、全米最大の芝刈り機レース「USオープン」が開催される。今年は、115人のレーサーと500人の観客でにぎわった。
USオープンでは、時速10マイル(約16km)で走る10〜15歳のジュニアクラスから、時速45マイル(約72km)で走るファクトリー・エクスペリメント・クラスまで、馬力・改造度別に9つのランクに分けて開催。レベルによって異なるが、ファクトリー・エクスペリメント・クラスなら、10分の1マイル(160m)を20周して、一番早くゴールした人が優勝だ。
もちろん、安全面には相当の配慮がされており、レースに参加するためには、芝刈り機の刃を取り外す、芝刈り機に装備されているエンジンのみを使用する、自動制御装置(自動的にエンジンを停止するスイッチ)を取り付ける、レース中にはヘルメット以外に首を安定する頚椎装具を着用するなど、さまざまなルールがあるという。
「参加者はユーモアがあって、ちょっといたずら心がある人たち。そして会場には熱狂的なレースファンが集まります」と、カーフマンさん。
「ある日、レースの案内看板を見て初めて立ち寄ったのですが、瞬時にとりこになりました。レースは、とてもよいストレス発散方法ですよ」と、レース歴4回目のラリー・ベニングさん。今年で5年目のレーサー、ジョン・"ルースター"・レウマンさんは、「レースは、純粋にスポーツとして楽しんでいます。過去2年ほど全米大会に出場したのですが、国内のさまざまな場所に出かけては、新しいレース仲間と出会い、最高の人間関係が築けるのも魅力のひとつです」。
最年長の男性レーサーは72歳。幅広い年齢層が出場する芝刈り機レースは、庭先に青い芝生を敷き詰めた家屋が一般的で、芝刈り機が身近な存在であるアメリカならではの発想だろう。

特派員プロフィール

大山真理(おおやま・まり)
ロサンゼルス在住。東京FM、FM802などでラジオレポートを行う。『夕刊フジ』、『朝日新聞(ウェブ)』、『日経トレンディ』、『日経ヘルス』など各種媒体に健康、流行、旅行、インタビュー記事などを執筆。『30都市徹底ガイド(ロサンゼルス担当)』(JTBパブリッシング刊)、訳書に 『「もう頭にきた」と思ったときに読む本』など。テレビ番組の取材コーディネート、通訳にも携わる。

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