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![]() ![]() 北は中国、南はインドという2つの大国に挟まれた小さな国、ネパール。ネパールという国がどこにあるかは知らなくても、白銀に輝くあの「エベレスト」ならもちろん知ってる!という日本人は少なくないかと思う。雄大なヒマラヤ山脈の姿を求めて、またラフティングやサファリツアーなどのアトラクションを楽しみに、ネパールは世界中から観光客が訪れる観光立国。そんな背景もあって、しばらく前までは電気もなかったトレッキングルートの村々からもメールが送れるようになり、町のインターネット屋では各国の言語でネットを楽しむことが出来る。ツーリストとは対称的に、自分の国はおろか、生まれた町や村から一歩も出たことがない、というネパールの人々の元にも近年はITの波が押し寄せ、文字は読めないけれど、携帯電話は持っている、なんてこともしばしば。
15歳以上の識字率が50%弱というネパールでは、年配の人、また女性の方が識字率が低く、特に地方女性の現状は、50代を超えるとほぼ読み書きができない。
![]() カトマンズなどの都市部ではといえば、以前は、乗り合いバスの中で他人同士がすぐに井戸端会議を始めていたのだが、この頃では無言で携帯電話を覗き込む姿が目に付くようになったのは、ちょっと寂しい光景だ。
現在ではまだ携帯電話でインターネットを楽しむことは出来ないが、いずれ出来るようになったら、ますます隣に座った人と会話を交わす人は減ってくるだろう。カトマンズでは識字率もかなり上がってきていて、学校ではパソコンの授業も導入され、パソコン塾も大盛況、インターネットショップも町のあちこちにある。学生の間では携帯電話を持つのがステータスで、アルバイトをするでもない彼らには到底買えそうもない機種を、自慢げに持ち歩いている若者もよく見かける。 一昔前までは、恋人が並んで町を歩くのもご法度だったくらい、恋愛が大っぴらに出来なかったネパール。手をつないで歩くなんてとんでもない。今でも結婚はお見合いがほとんどで、結婚というゴールに至るまでの付き合いをするカップルは10%にも満たないだろう。そんな環境で恋する二人の強い味方が携帯電話。家族の誰にも知られずにこっそり恋人とメッセージのやり取りをしたり、ミスコール(呼び出し音を数回鳴らして切って「かけなおして」とか、呼び出し音の回数をメッセージとして「おやすみ」「愛してる」といった風に使われている)で連絡を取り合ったり。おかげで恋愛に対して閉鎖的だった風潮も、少しずつではあるがオープンになってきた。30分でも1時間でも平気で時間に遅れるルーズなネパール人も、デートの約束なら待ち合わせの時間にピッタリ到着。水に濡れるとすぐに壊れてしまう腕時計を使うよりも、携帯電話を持ち歩くほうがファッショナブルだし時間も分かる。見せかけだけでなく、マナーの面でも少しずつグローバル化の波に乗って来たネパールである。
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