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ユニバーサルデザイン 益田文和
Vol.027 USBフラッシュメモリ
 

デジタルデバイドという言葉がある。コンピュータなどの情報通信機器を使いこなす人と使えない人の間に生じる格差を意味し、世代や貧富の差、地域や国の間での格差について論ずる時などにも使う。日本では特に情報社会になじめない高齢者を指してデジタルデバイド世代などと言うようだが、考えてみればお門違いも甚だしい。公衆電話とはがきで用が済めばこんなに気楽なことはない。技術によって便利になったのは確かだが、世の中が複雑になった側面があることも否めない。
携帯メールやインターネットばかりか、銀行のATMも駅の券売機も、ある人にとっては便利でも別の人にとっては、そこら中に仕掛けられた社会のバリアになってしまうことがある。ユビキタスネットワーク社会そのものがICT(情報通信技術)を活用したユニバーサルデザインだとしても、まだ先のこと。ただ、そういう間にも小さな技術革新は次々と起きている。
たとえばここ数年、人と機械の間でデータのやりとりをする、記憶メディアの世界に起きている技術進化は目覚しい。磁気テープからフロッピーディスク、MD、CD、DVD、HDDにUSB…と呼び名を覚えるいとまもない。中でも最近人気のUSBメモリは仕組みが簡単なので、使いやすく、小指ほどのスティックで1ギガバイトを超える大容量を持ち運べるとあって急速に普及している。だが、そのデザインはというと実はあまり考えられておらず、便利さとは裏腹に扱いにくくて失せやすく、結構高価な割にはどれもこれも魅力的とは言いがたい。
その中にあって、このUSBフラッシュメモリのキャラクターはユニークだ。カラフルな扇型の本体に丸い大きなキャップをかぶせると、直径6センチほどのドーナツ型になる。持ち歩くにも取り扱うにもちょうど良い形だ。容量は16メガバイトと小さいが、一個800円程度だから、ちょっとした文書に画像をつけてそのまま人に渡してもいいし、郵送するにも具合が良い。丸い穴が指かかりになってUSBポートへの抜き差しも楽で、思いのほか機能的なデザインでもある。4色をワンセットで小さなCDのように積んだパッケージも気が利いていて、やっと体温を持ったメディアが生まれたようで嬉しい。

USBフラッシュメモリ/BUFFALO

益田文和(ますだ・ふみかず)プロフィール

1949年

東京生まれ。

1973年

東京造形大学デザイン学科卒業

1982年〜88年

INDUSTRAL DESIGN 誌編集長を歴任

1989年

世界デザイン会議ICSID'89 NAGOYA実行委員

1994年

国際デザインフェア'94 NAGOYAプロデューサー

1995年

Tennen Design '95 Kyotoを主催

1991年

(株)オープンハウスを設立
現在代表取締役。近年は特にエコロジカルなデザインの研究と実践をテーマに活動している

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