かしこい生き方を考える COMZINE by NTT コムウェア

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ユニバーサルデザイン 益田文和
モバイルな箸
 

マイ箸はこのところ大分普及してきたようだ。自分では持ち歩かない人でも、何人か一緒に食事をする時など、そのうちの誰かが鞄から自分の箸を取り出すという場面に立ち合うことはあるだろうし、そんなことはもはや珍しい光景ではなくなってきた。
考えてみれば、ずっと昔から弁当を持って行く時には必ず箸も携えていたわけだから、自前の一膳が手荷物の中から出てきても何ら不思議ではないはずなのだ。ボーイスカウトではナイフ、フォークや箸のことを武器と呼んで、常に携行することを勧めているという。
割り箸を使い捨てにするのはもったいないということから、自分用の一揃いを持ち歩く人が出始めて、いつの間にかマイ箸は環境意識のシンボルのようになってしまった。
1990年代には、来日するヨーロッパ人の間に箸を持参するのがはやった。世界の森林を脅かす日本人はけしからんという啓蒙的なデモンストレーションだったのだろうが、すし屋のカウンターに並んでポケットから箸を取り出した私の友人たちに、すし職人は「そんなきたねえもん使うんだったら手で食えばいい」と一喝したものだった。
当時に比べればはるかに穏やかな、一つのスタイルとして定着してきたマイ箸持参の習慣だが、洋食のカトラリーに比べて軽くてかさばらないように見えて、その実、長細い箸を常に持ち歩くのは意外におっくうなものである。
最近は様々な工夫を施したデザインの持ち歩き用箸セットが出回っているが、衛生面や取扱いのしやすさなど、それぞれ一長一短である。箸が二つに分割できるタイプはコンパクトになる良さがある反面、組み立てたりばらしたりする度に、ねじるとかネジを回すとかちょっとした複雑な動作を必要とするものが多い。
この「モバイルはし」という製品は、携帯電話ほどの大きさでポケットや鞄の中にすっぽりと納まる。二分割された箸を組み立てるには、真っすぐ差し込むだけでよい。用が済んだらそのまま引っ張れば難なく抜ける。特殊な嵌め合い構造と成型技術のおかげである。単一素材のシンプルな構造で丸洗いできるのもありがたい。

モバイルはし:株式会社タマカネ(ピンク、ホワイト、ブラック)

益田文和(ますだ・ふみかず)プロフィール

1949年

東京生まれ。

1973年

東京造形大学デザイン学科卒業

1982年〜88年

INDUSTRAL DESIGN 誌編集長を歴任

1989年

世界デザイン会議ICSID'89 NAGOYA実行委員

1991年

(株)オープンハウスを設立

1994年

国際デザインフェア'94 NAGOYAプロデューサー

1995年

Tennen Design '95 Kyotoを主催

現在

(株)オープンハウス代表取締役。近年は特にエコロジカルなデザインの研究と実践をテーマに活動している。

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