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ユニバーサルデザイン 益田文和
子豚の顔の「つかミトン」
 

「鍋つかみ」というが、鍋のどこをつかむのだろうか。鍋の取っ手をつかむにしては、あの大きくて分厚い布の手袋は少々大げさすぎるように思われる。
欧米の料理では大きなオーブンというかストーブで、鉄の鋳物やホーロー製の鍋やパン(平鍋)に入れた食材を熱して調理することが多い。それを取り出すときには、鍋つかみをはめた両手で鍋の胴を挟むように持って引き出したり、鋳物の平鍋の熱い取っ手部分をつかんだりするので、確かにあの武骨なミトンが必要であることがわかる。
しかし、日本の家庭ではオーブンを使う料理は少ないこともあって、鍋の胴をつかんだりするよりは両手鍋の取っ手とか、やかんの取っ手を握るくらいのことが多いと思われ、そうなるとあの鍋つかみは、指先が余ってしまったり指が曲げづらかったりして、握ったりつまんだりするには必ずしも向いていないようだ。
この、「つかミトン」という豚の顔をした軟らかいシリコン樹脂製のミトンは、親指とその他の指を豚の下あごと上あごにあたる部分に入れて、ちょうどパペットをしゃべらせるときのような要領で使う。口の内側は凹凸があって滑りにくく、熱を伝えにくい。肉薄で指がミトンの先まで入るので、つまみや取っ手を、つまんだり握ったりした時の感触が伝わって動作が確実に行える。
特に子供にとっては分厚くて大きい鍋つかみよりずっと扱いやすいはずだ。鍋つかみのように、子供用に小さなものを用意してもあまり需要が期待できそうもない場合、この商品のデザイン方法論が参考になるだろう。大人は指で扱い、子供はすっぽりと手のひらを包む形で使うことができる。
「つかミトン」はペットボトルのふたを開けるのにも威力を発揮する。ふたをしっかりくわえた子豚の表情が面白い。更にもう一つ、鍋つかみは、着脱するのに両手を使わなければならないが、この「つかミトン」は机に置いたまま片手ではめたり外したり出来ることも大きな特長である。

「つかミトン」株式会社マーナ(ピンク、イエロー)

益田文和(ますだ・ふみかず)プロフィール

1949年

東京生まれ。

1973年

東京造形大学デザイン学科卒業

1982年〜88年

INDUSTRAL DESIGN 誌編集長を歴任

1989年

世界デザイン会議ICSID'89 NAGOYA実行委員

1991年

(株)オープンハウスを設立

1994年

国際デザインフェア'94 NAGOYAプロデューサー

1995年

Tennen Design '95 Kyotoを主催

現在

(株)オープンハウス代表取締役。近年は特にエコロジカルなデザインの研究と実践をテーマに活動している。

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