その後のカブ(C50系)を追いかけてみよう。
66年にC100の後継車「C50」がOHCエンジンを搭載し、燈火類を一新して登場。
68年には副変速機付きのハンターカブ「CT50」を発売。
71年になると、流麗なスタイリングの「スーパーカブデラックスC50」が デビューするが、
この一体型デザインはその後30年以上に渡って継承されていく。
81年、リッター105kmの「スーパーカブC50デラックス」が
エコノパワーエンジン時代の到来を告げ、
リッター150kmの「スーパーカブ50スーパーデラックス」、
リッター180kmの「50スーパーカスタム」へと進化してゆく。
そして、97年には、小径14インチタイヤの「リトルカブ」がデビュー。
さらに扱いやすくなったことに加え、お洒落で都会的なバイクとして大人気に……。
他に類を見ない低燃費、運転のしやすさ、壊れにくく修理しやすいこと。
そんなカブは、東南アジア市場でも年を追うごとに人気が高まり、
現在はタイやフィリピンなど東南アジア5カ国で現地生産されている。
01年度の生産台数227万台のうち
海外分は95%に上り(※)、文字通り“国際商品”となった。
ちなみに、ベトナムではオートバイのことを「ホンダ」と呼ぶそうだ。
中国製のニセモノが流入し問題となっているが、
「オマエのホンダはどこのメーカー?」「オレのホンダはヤマハ製!」という
摩訶不思議な会話も交わされているとか。
最後に、本田宗一郎が52年10月のホンダ月報に寄せた文章を紹介したい。
「(前略)良品に国境はありません(中略)。
日本だけを相手にした日本一は真の日本一ではありません。(中略)
一度優秀な外国製品が輸入される時、
日本だけの日本一はたちまち崩れ去ってしまいます。
世界一であって初めて日本一となり得るのであります(後略)」
スーパーカブは、彼の夢をかなえる最初のクルマとなった。
今年8月、45回目の誕生日を迎えたカブは、
今も世界中の街で人々の足となって走り続けている。
※2002年12月18日の朝日新聞より。
取材協力:Honda(http://www.honda.co.jp/)
参考文献:『ホンダ スーパーカブ』三樹書房刊 |