「のりたま」という分かりやすいネーミング、斬新なパッケージ、
テレビの人気番組と連動したおまけ、そしてプラモデルや着せ替え人形など
子供が欲しがる景品を付けた懸賞キャンペーン。
巧みなマーケティング戦略で、一気に頂点に駆け上がった「のりたま」は 、
一地域のローカルブランドだった“ふりかけ”をナショナルブランドにまで押し上げた。
その後もテレビや漫画の人気キャラクターをパッケージに採用するなど、
活発な宣伝活動を展開するが、ロングセラーたる所以は、そのせいばかりではない。
長く愛される食品に欠かせない“味”の改良も地道に続けられてきたのだ。
例えば、卵。「のりたま」発売後も、顆粒化の研究は続く。
70(昭和45)年には、液体を遠心力によってスプレーすると
同時に熱風を当てて粉末に変える「スプレードライ製法」の粉末卵を採用し、
よりサクサクした食感の卵粒子を開発。
そして、塩。
健康ブームで塩分の摂りすぎに敏感になる人が増えるが、
塩はふりかけの味を左右する大切な調味料。
単純に量を減らせばいいというものではない。
他の材料とのバランスを見ながら、さまざまな比率を試した結果、
85(昭和60)年に最適な塩分比を発見し、約4分の1の塩分カットに成功する。
さらに96(平成8)年には、
配合する塩をにがりやミネラルを含む天然塩に変えて16%減塩(当社比)。
また、卵もマイクロウェーブ乾燥によって、よりふっくらとおいしくなった。
この時からパッケージにアルミ蒸着パックを採用し、防湿・酸化防止効果を高めた。
のりたまが発売されて43年。
もはや卵も海苔も贅沢品ではないが、今なお、お弁当の定番アイテムとして、
お母さんのお助けアイテムとして支持されている。
そのおいしさと人気キャラクターは、いつの時代も子供達の心をとらえて離さない。
取材協力:丸美屋食品工業株式会社(hhttp://www.marumiya.co.jp/)
参考文献:『丸美屋食品50年史』丸美屋食品工業株式会社刊
『ふりかけ―日本の食と思想』熊谷真菜+日本ふりかけ懇話会著/学陽書房刊 |