入浴剤の代名詞ともいえるバスクリンだが、70余年の歴史の中で、
類似品や競合品にその地位を脅かされたことはなかったのだろうか。
「発売当時は、なかったように思います。ノボピンという商品がありましたが、殺菌力のある硫黄を含み、
主に水虫などの治療用に使われていましたから、バスクリンとは若干用途が違います。
いわゆる入浴剤で画期的だったのは、83年に発売された花王さんのバブでしょうか」
錠剤と発泡というかつてなかったスタイルで登場したバブは、バスクリンの市場を食うというよりも、
入浴剤の市場規模そのものを拡大することに貢献したようだ。
ちなみに、83年に195億だった市場規模は、翌84年に約1.7倍の327億円にまで拡大した。
現在の入浴剤市場は、バブル崩壊後のギフト需要の減少や安売りの常態化で、厳しい状態にあるという。そんな市場を活性化するため各社とも、この冬、これまでとは一味違う商品を投入。
ツムラのイチオシが「きき湯」だ。
「きき湯は、全国有数の炭酸泉である大分県の長湯温泉からヒントを得て開発した製品で、
温泉の情緒よりも、効果そのものにこだわりました。5ミリ粒のブリケット製剤にしたことによって、
浴槽内で炭酸がまんべんなく発生し、血行を促進します」
きき湯をはじめ、毎年のように新製品が発売されるが、
その中でバスクリンはどのような位置付けなのだろうか。
「バスクリンのターゲットは30〜40代の女性で、基本的にファミリーユースです。
ファミリーユースの場合、みんなが同じお湯に入りますから、
子供からお年寄りまで誰にも好まれる色と香りを意識しています。
また、最近流行の分包にしないのも、
お湯を注ぎ足しながら順々に入るという家族での入浴方法を考慮してのこと。
バスクリンなら、足したお湯の量に合わせて気軽に追加できますからね」
現在でもバスクリンは、ツムラ全入浴剤の中で約40%の売り上げを占める。王者健在なり、である。
お風呂好きの日本人が使い続けてきた入浴剤バスクリン。
その色と香りを思い出すだけで、何だか心の中まで“ほっ”と温かくなるようだ。
取材協力:株式会社ツムラ(http://www.tsumura.co.jp/)
※メインとプレゼント以外の写真は株式会社ツムラからの提供です。
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03年秋にパッケージデザインを一新。同時に発売された「すずらんの香り」と「みかんの香り」を加え、現行のバスクリンは7種類。 |
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