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団塊の世代以前の世代には、リポビタンDと言えば王選手の姿がイメージされるはず。CM出演中の10年間、すべての年で本塁打王を記録した。 |
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規制緩和後のCMメインキャラクターはケイン・コスギ。タレントが画面でリポビタンDを飲めるようになったのもこの頃から。現在は滝川英治とのダブルタレント。 |
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リポビタンDがここまで大きな存在になったのには、もうひとつ大きな理由がある。それが、数々のタレントが出演してきたコマーシャルの存在。リポビタンDと聞いて誰もが、「ファイトで行こう!」と語る王選手を、あるいは勝野洋や渡辺裕之の顔を思い浮かべるのではないか。62年の発売当時から現在に至るまで、リポビタンDの歴史はコマーシャルと共にあったと言えるほど、消費者に与えたインパクトは大きかった。
リポビタンDコマーシャルの歴史は、62年4月からの「巨人軍時代」、73(昭和48)年4月からの「大物俳優時代」、77(昭和52)年12月から現在に至る「ダブルタレント時代」の3期に分けられる。
62年の発売に合わせて登場したのは、実は王選手ではなく、エンディー宮本というハワイからやって来た日系二世の選手。前年の日本シリーズでMVPを獲得した選手だった。63年以降の10年間は、全盛期を迎える王貞治選手を起用。大正製薬は球場のライトスタンドにリポビタンDの大型広告を設置した。王選手がホームランを打つたびにリポビタンDの文字がテレビに映り、続いて画面には汗だくの王選手がリポビタンDをゴクリと飲み干すコマーシャルが流れるという巧みな宣伝戦略。その効果は目覚ましく「王選手がホームランを打つと球場付近のリポビタンDが売り切れる」という伝説が生まれた程だった。
その後、宝田明、高橋英樹を起用した大物俳優時代を経て、今に続くダブルタレント時代へと移行する。最初に起用されたのはテレビで活躍していた勝野洋と宮内淳。男っぽさにあふれた2人が発する「ファイト・一発!」のキャッチフレーズは、今もそのまま引き継がれている。2人の組み合わせは勝野洋(10年間)と渡辺裕之(9年間)が中心となり、その時々のマッチョな若手人気俳優を起用。現在はケイン・コスギと滝川英治のフレッシュコンビが務めている。
発売から42年にわたり、何ひとつ変えることなく消費者に支持されてきたリポビタンD。
それは高度経済成長期の働く日本人を元気づけ、日本に"ドリンク剤文化"を根付かせた、医薬品史上にも類を見ない画期的な商品だった。
今はリタイアしたお父さんたちも、現役世代の若者たちも、きっと忘れることはないだろう。「ファイトで行こう!」というエールを。「ファイト・一発!」というあの雄叫びを。
取材協力:大正製薬株式会社(http://www.taisho.co.jp/)
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