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発売当時のチョコボール3種。デザインの基本は現行商品とそれほど変わっていない。内側のサックをそのまま上に引き上げる仕組みだった。 |
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キョロちゃんデザインは40年間にわたり、ほとんど変わっていない。 |
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人気を博したキョロちゃんのぬいぐるみ。キャラクターグッズは販促品として幅広く使われた。 |
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パッケージが小鳥だから、キャラクターは当然、小鳥になる。子供に受け入れられるような可愛いデザインでなければいけないし、後々まで印象に残るようなインパクトも必要だ。
またチョコボールは、ピーナッツをチョコレートで包んだ「ピーナッツボール」、キャラメルをチョコレートで包んだ「チョコボール」、ピーナッツ入りのキャンデーをチョコレートで包み、さらにシュガーコートした「カラーボール」の3種類で発売されることが決まっていた。キャラクターは、その違いも絵で表現しなければならなかった。
完成したキャラクターデザインは、なんとも前衛的な絵柄だった。
大きな目と、ころんとした体つき。確かに鳥に見えるけれど、羽らしいものは見当たらない。もっと不思議なのは、横向きなのに目が二つ正面に並んでいること。実はこれ、同存化表現という伝統的な絵画手法のひとつで、平面上に立体を強調する表現方法。キュビズム時代のピカソも良く使っていたという。開発時は「目つきが悪い」という声もあったが、目がキョロキョロしていることから、このキャラクターには「キョロちゃん」という愛称が付けられた。
味の表現には、「ピーナッツボール」はピーナッツの薄皮がついたもの、「チョコボール」はキャラメル色の胴体に蝶ネクタイ、「カラーボール」は赤・黄・緑・青のストライプ柄、といった具合に、キョロちゃんの胴体が使われた。
小鳥を模した斬新なパッケージと、前衛的なキャラクター「キョロちゃん」。この二つが合体した3種類の初代チョコボールは、1967(昭和42)年、満を持して発売された。価格は各30円。
森永製菓の狙いどおり、チョコボールは発売当初から子供たちに好評で、順調に売上げを伸ばしていく。
積極的な宣伝展開も、チョコボールの売上げ増加に大きく貢献した。
発売当時のテレビCMには、キョロちゃんの形をした帽子を被った歌手のペギー葉山が登場。その後約20年間は、子供たちに絶大な人気を誇ったタレント、田中星児がブラウン管を飾った。
そして87(昭和62)年には、とんねるず主演のテレビCMに再びキョロちゃんが登場。「クエッ!クエッ!クエッ!」という名フレーズと共に、キョロちゃん自身が人気者となっていく。
このCM以降、森永製菓はチョコボールの広告戦略を、キョロちゃんを前面に押し出したキャラクター戦略へと変更する。90年代のテレビCMには、キョロちゃんクレイアニメや着ぐるみキョロちゃん、CGキョロちゃんなどを次々と登場させ、チョコボール=キョロちゃんのイメージを定着させていった。
1991(平成3)年にぬいぐるみを始め、ゲームソフトやプリクラ、ビデオ、時計など、様々な分野でキョロちゃんのキャラクターグッズが登場。99(平成11)年には、なんとテレビアニメまで放映されている。
現在、森永製菓は9月6日を「キョロちゃんの日」と定め、夏休みには「キョロちゃん夢ファンタジーミュージカル」という無料の招待イベントを毎年開催している。
お菓子のオリジナルキャラクターは数多いが、ここまで認知され、マルチに展開されている例は極めて珍しい。 |