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80年代の商品ラインナップ例。うどん、ラーメン、ちゃんぽんの3種類がこの頃から商品の柱になった。 |
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90年代の商品ラインナップ例。ロゴデザインが変更されたが、鍋焼うどんのイメージカラー・緑はそのまま。 |
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現行鍋焼うどん。釜でていねいに炊き出しただし、100%国産小麦使用の麺、海老・鶏肉など7種類の具材が特徴。399円。 |
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九州地区限定商品「九州風 ごぼう天うどん」。340円。 |
年末限定商品「海老天ぷらそば」。400円。 |
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発売以来29年。コンビニ商品の平均的な商品寿命は約3ヵ月と言われているから、キンレイの鍋焼うどんの長寿ぶりは注目に値する。
もちろん、商品は頻繁にリニューアルを繰り返してきた。アルミ容器入り冷凍麺の中核をなすのは、鍋焼うどん、ラーメン、ちゃんぽんの3本柱。もちろん最も販売量が多いのは鍋焼うどんで、商品価値を高めるために1、2年に1度の割合でリニューアルしている。昨年8月のリニューアルでは、だしのおいしさにこだわり、使用する鰹節に本鰹の鰹節を加えた。昆布も水から浸漬し、より風味を増した旨味のあるだしになったという。
現在の基本的なコンビニ向け商品のラインナップは13種類。基本的なと書いたのには理由があって、実は各コンビニチェーンだけで売られる限定商品が多数あるのだ。コンビニチェーンによっても差はあるが、基本的にはキンレイのオリジナル商品を並べ、加えて1、2品、共同開発したオリジナル商品を販売する形を取っている。
地域性も重要なポイントになる。例えば「きつねうどん」は関西のコンビニでは常にあるが、関東のコンビニではほとんど置かれていない。逆に「野菜たっぷりタンメン」は関東のコンビニでお馴染みだが、関西のコンビニでは見かけない、といった具合。
同じように期間限定の商品もある。「海老天ぷらそば」は普段は置かれていないが、年末限定の人気商品だ。
こうした限定商品を全部合わせると、約25種類ほどになるという。キンレイの商品だけを取っても、各コンビニチェーンは地域性・季節・顧客層などの要素を細かくチェックしながら、店頭在庫を上手にコントロールしているのだ。こうした努力もあり、キンレイのアルミ容器入り冷凍麺は冬以外の季節でもよく売れている。ちなみに冬はその1.5倍売れるのだとか。
キンレイ商品も2000年前後に少し落ち込んだが、ここ数年は売れ行きが伸びている。
その需要を支えているのは、まず第一に20〜30歳代の独身男性。これはよく分かる。いつの時代も独身男は面倒くさがりだから。次いで多いのは中高年の女性だという。ちょっと意外な気もするが、リサーチすると「日頃、家族のための食事ばっかり作っているから、自分ひとりの時はできるだけ楽をしたい。だから洗い物が一切出ないアルミ容器入り冷凍麺は非常に魅力的。インスタント食品は洗い物が出るので嫌。その点、キンレイの鍋焼うどんはヘルシーでおいしく、後かたづけも不要だから好き」という声が多かった。
若者の個食化は今に始まったことではないが、これからは中高年層の個食化が進むだろう。中高年の独身者数も増えつつある。この世代は味に対するこだわりが強いから、麺類を選ぶときもインスタント食品より冷凍食品を選ぶのではないだろうか。
ローソンが中高年をターゲットにしたコンビニを展開するなど、コンビニ自体のコンセプトも変わりつつある。既に中高年女性に支持されているキンレイにとっては、さらに売れ行きを伸ばすチャンスかもしれない。簡単に作れておいしいものに、年齢や性別は関係ないのである。 |