


この「IT川柳」を私が担当し始めた頃は、IT関連の言葉でも一般的とは言えないものがまだ結構あったのですが、今ではそれも皆さん日常的に当たり前に使っています。しかし、使いこなしているかと言うと、「?」が付きます。きちんと意味がわかって使っている方ももちろんいらっしゃるでしょうが、大半の方は「何となく」「おぼろげに」の範疇の認識で使われているのではないでしょうか。それで支障なく通じているのであれば、それも許容されることでしょう。
今回のお題の「コンテンツ」という言葉も何気なく使い、聞き、何気なくわかったつもりになっているというのが正直なところでしょう。そのような内容に類する作品を結構頂きました。この正直に見る、言ってみれば本音を表現するということも川柳の人間観察の一つです。
「コンテンツ」に限らず、他にもたくさんわかったつもりで使っている言葉は多いでしょうね。氾濫とまでは言いませんが、あまりにも多いコンテンツの数にやや食傷気味だという感想をお持ちの方も、多くいらっしゃいますね。生活が多様化されて、選択の幅も広がったのは幸せなことには違いはないのですが、その選択に振り回される、自由さが不自由につながる、ということも現代を表すことなのでしょう。
特選句についてですが、その人の内容の濃さと髪の濃さとは必ずしも比例しません。当然のことです。見た目だけで判断すると思わぬ落とし穴が。「自分のことを客観的に見ることができる」というユーモアの基本が含まれていますね。そして、ひょっとしたら、頭の中味がそうありたいという願望を表しているのかもしれませんね。いずれにしましても、わかりやすく、端的な作品でした。
「コンテンツ引き出すそれもコンテンツ」 立川談幸

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編集部より |