IT川柳
お題は「タッチ」
五月の特選
- どや顔でスマホ操る喜寿の指(あぐみ)
五月の名作・迷作選
- 孫とジジともにタッチの練習中(おてもやん)
- タッチして拡げしぼませ日々娯楽(とよひでくん)
- まずタッチ読む聴く買うに乗車まで(ブルードラゴン)
- あなたより画面に触れるデート中(やじろべー)
- 寂しくてスマホにタッチ繰り返す(海峡ちどり)
- タッチして動くスマホと怒る妻(りのんぱ)
- スマホほど感度よくない妻でよい(極楽トンボ)
- 心にもタッチするのがおもてなし(駒ヶ根権兵衛)
- 花びらが肩タッチする並木道(汐海岬)
- 審判もタッチアウトか見るスマホ(周平)
“まわす、ひっぱる、押す”は、もう昭和の遠いことのように感じる今日このごろ。タッチだけで操作できる電子機器が多くなってきました。ICカードをタッチすれば通れる駅の改札をはじめ、目新しく感じていたものが今や何の不思議でもない光景に。以前ならSFの世界です。スマートフォンやタブレットなどの機器も軽い指タッチでいろいろな情報を手に入れたり発信できたり、われわれはICT社会の恵みを享受しています。「夢のようなことが現実に」とは、このことでしょう。そのうち触れずとも人間の意識のままにいろいろなものが動かせる時代が来るのではないでしょうか。タッチ機能は便利な半面、軽く触れるだけで作動してしまうが故に誤操作を起こしやすく、それに対しての悔悟の念や警告といった作品が結構見受けられました。皆さん身に覚えのあることなのでしょう。最近では駅のホームで操作に夢中のあまり思わぬ事故に遭うことが多発しているようです。くれぐれもお気を付けください。
特選句はアナログな昭和を生き抜いてなお、この平成の御代に元気な姿でICT社会を楽しんで過ごしている、たくましい喜寿の方の表情が浮かんできます。振り返ることも大事ですが、過去にしがみつくばかりではなく、前を向いていくことも大事。これが長寿の秘訣(ひけつ)かもしれません。
「鈍感は俺の指かとなめてみる」 立川談幸
編集部より |